「一気にナターレの季節だねぇ」

「あ〜このCM見るとナターレ来るなぁって思うよな」

「そうそう!」

「少し前まではナターレなんざ縁がないもんだと思ってたが……こんな風に思う日が来るとはなァ」

「やってる事はまぁまぁ同じなんだけどね〜。それでもこうやって暖かい部屋でマシュマロ浮かべたココア飲めるんだから幸せだなって錯覚しちゃう」

「錯覚ねェ……。別にこんなの錯覚でもなんでもねェだろ。今までが酷すぎだだけで」

「ナターレになると仕事増えるもんね。一回リーダーが返り血浴びて血塗れで帰ってきた時、こんな怖いサンタクロースいるか?と思ったもん」

「B級ホラー映画よりヒデェな」

「そんな姿でさ、現場にあったケーキ持って帰ってきたから食えとか言うんだもん……ケーキの味なんてひとつも分かんなかった」

「リゾットの気遣いって少しズレてんだよな……オレたちの事、まだローティーンのガキだと思ってる節あるしよォ」

「あ〜それは分かる!私は女だからかやたらと飴とかチョコとか渡してくる」

「やってる事が近所のババアと同じなんだよ」

「アッハハハハハ!!ちょ、待って、笑うわ」

「アイツら、ひとのポケットに容赦なくお菓子突っ込んでくるだろーが」

「それでもちゃんとお礼言ってもらって帰ってくるんだから良い子だよギアッチョは」

「うっせうっせ!お年寄りには優しくしなきゃダメだろーが」

「ギアッチョ、優しい〜!!」

「ムカつく女だな」

「まーでも裏の仕事してるって知ってるだろうに、挨拶してくれたりお菓子とかくれたりするのはやっぱり嬉しいよね」

「……本当なら、街の人間は味方につけといた方が良い。信頼が物を言う世界だ。今になってそれが出来てきてるって事なんだろ」

「……誰かの受け売り?」

「……そろそろ出掛けるか。クリスマスマーケット見に行くんだろ」

「あっ話逸した!」

「ほら、マフラーと手袋しろよ。お前、いつも忘れんだろ」

「あっ待って!」

「カップは洗っておいてやる。その間に準備しろや」

「Grazie,Amo!」

「腹出た服は着てくンじゃねぇぞ。風邪引くんだからよ」

「Sì!分かってる!」

「クリスマスマーケットでよ、アレ買おうぜ」

「何?」

「鳩のオーナメント」

「……Bene!!」




製氷機と瞬間湯沸かし器 その33

「意外とロマンチックな男だな」なんて

2021/12/02〜2022/01/08


誰かが微笑んだ気がしたんだ



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