「ねーギアッチョ、知ってる?」

「知らん」

「まだ何も言ってないじゃん」

「知らないと思ってるからそう聞いてんじゃあねぇのか」

「それはそうだけど、もっと乗ってくれてもいいじゃん。モテないよ」

「オメーがいんのにモテる必要ねぇだろ」

「ピピーッ!不意打ち警察です!現行犯逮捕!」

「バカじゃあねぇの」

「可愛い彼女の照れ隠しをバカって言うんじゃあないよ」

「ハイハイ、その可愛い彼女の話ってなんなんだよ」

「あっ!そうそう!マリトッツォってあるじゃん!」

「あー……クリームがぎちぎちに詰まったパンだろ」

「そのクリームぎちぎちパンがジャポネで流行ってるんだって!」

「なんでまた……そんな極東の国で流行ってんだよ」

「さぁ?でもティラミスもパンナコッタもジャポネではブームになったってプロシュートから聞いた事あるし、なんかイタリアのドルチェが向こうでの流行の最先端ってのがあるんじゃあないの?」

「ジャッポネーゼは健康志向だと思ってたが、あんな甘いもん食うんか」

「そこはジャッポネーゼ向けに変えてんじゃあないの?あー甘いもの食べたくなってきたなぁ……どっか入らない?」

「ん。そこのバールはどうだ?」

「Va bene!ギアッチョも何か食べる?」

「スフォリアテッラ」

「Bene!いいチョイスだね!私はどうしよっかなぁ……」

「ビニェもあるぞ。お前、好きだろ」

「わ!本当だ!それにしよ!」

「飲みモンはカッフェでいいのか」

「うん」

「──Sfogliatella, bignè e due caffè per favore.」

「Va bene.──Ecco.」

「Grazie」

「Grazie!」

「Prego.」

「わー美味しそう!」

「クリームこぼすなよ」

「あっ……」

「言ったそばから……お前ビニェ食うの下手すぎか。ビニェ食い下手選手権堂々一位か」

「な、なんだよそれ……!ビニェはクリームがこぼれる食べ物なの!ギアッチョだって口の端に粉砂糖ついてるじゃん!スフォリアテッラ食い砂糖つけ選手権金メダルじゃん!」

「そんな競技ねぇよ」

「ギアッチョから言い出したんじゃん」

「バカバカしい。……よく指輪なんか入れようと思ったな」

「うん?何の話?」

「マリトッツォだよ。結婚指輪をクリームに入れてってやつ」

「ああ……。中に埋め込んでる訳ではないにしても、食べ物にものを入れるの、ちょっとヤダよね」

「ビニェに入れてクリーム落とされたりでもしたら台無しだしな」

「は?」

「あ?」

「……なに、指輪とかくれる予定なの?」

「いや、まぁ……別にそんなんじゃあねぇけど」

「だよねー」

「まだ早すぎんだろ」

「えっ!!!!?????」





製氷機と瞬間湯沸かし器 その30

カスタードクリームがこぼれる

2012/09/02〜2021/10/01


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