「なんだよ、氷ねぇじゃねぇか。誰だよ最後に使った奴はよぉ〜!しょうがねぇなぁ……ギアッチョ、氷」

「俺は氷じゃあねぇぞッ!!」

「氷だろ」

「氷だな」

「氷じゃん」

「ウルセェ!大体よォ〜〜何でホルマジオがしょうがねぇなぁって言うんだよッ!俺のセリフじゃねぇか、クソッ!ムカつくぜーッ!」

「Grazie〜!いやーギアッチョがいるとウィスキー飲むのが捗るぜ〜!」

手を叩いて喜ぶホルマジオとは対象的に、スタンド能力をあてにされたギアッチョの機嫌はすこぶる悪い。私はプロシュートに作ってもらったウィスキーのダブルを飲みながら、生きにくい性格だなぁと思っていた。
そこにエプロン姿のリゾットがキッチンから顔を出す。
筋肉質な身体にくまのプーさんのエプロンは絵面的にもキツイ。

「また湯が出ない」

「え〜またぁ?もうそろそろ本格的に買い替えじゃない?」

アジトのキッチンの瞬間湯沸し器は化石のような代物でここ最近その名に反して湯を沸かしてはくれない。
私はその度にスタンド能力で水を沸騰させられている。

「パスタを茹でるから多めに頼む」

「はいはい」

水を入れた鍋にスタンドで触れると、あっという間に湯が沸いた。

「Grazie,今日のランチはペペロンチーノだ」

「……たまにはボンゴレビアンコが食べたい」

「魚介類は高い」

マンマの財布の紐はきつい。
キッチンから戻ってソファに座るとギアッチョがずずいっと寄ってくる。近いな。

「なぁ〜!?お前もスタンド能力あてにされんのムカつくだろ!?」

「何の話?」

「氷がねぇって言えば俺、湯が出ないって言えばお前だ。俺たちはいつからこのアジトのライフラインになったんだァ!?ムカつくぜーッ!!」

「ああ。そんなこと。別に私は気にしてない」

「気にしろよ!」





製氷機と瞬間湯沸し器

喜んでもらえるならそれが一番よ。



2019/05/03〜2019/05/31


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