「なァ、ギアッチョ。いつからあの子の事が好きだったんだ?」

「ブーーッ!!!」

「うわ、汚ぇ!!」

「酒が勿体ねぇ!!」

「ゲホゴホ!!な、何を急に言っとるんだ、メローネェ!!」

「急でもないさ、前から気になってた。今ならあの子はいないし、いい機会だろ」

「なんでヤローだけの酒盛りでそんな女子会みてぇなノリで恋バナしなきゃならねぇんだよ」

「じゃあ何か!?ギアッチョはこのメンツで猥談でもしろって言うのか!?」

「極端だな!オメーの情緒どうなってんだよ」

「……メローネ、久々にベィビィの教育に失敗したから荒れてるんだよ」

「メンタル激弱かよ」

「イルーゾォには言われたくない」

「何でだよ」

「ボスが麻薬を取り締まったお陰で治安の悪い女がいなくなった。どいつもこいつもビタミンだ鉄だ葉酸だとサプリメントばかり飲みやがる……。鉄も葉酸も妊婦は摂ったほうがいい。赤血球の形成を助ける、胎児の正常な発育に寄与する栄養素だからな。ただし摂りすぎには注意だ……」

「オメー……もう酔っ払ってんじゃあねぇだろうな」

「オレにだってそれなりに他人の恋愛に興味はある。好きになるって言うのが分からないから尚更かもしれんが……この中で恋人がいるのはギアッチョだけなんだ」

「あれ?イルーゾォ、あの花屋のベッラはどうしたんだい?」

「……この前知らない男と歩いてた……。フラレた……」

「え!?その男って恋人だったのかい?」

「分からねぇけど仲良さげにしてたし、絶対そうだ……。オレはフラレたんだ……」

「ほらな!見ろ!イルーゾォの湿っぽい恋バナなんか聞いたってなんの参考にもならないだろ!」

「さすがにやめてやれよ、メローネ」

「オレは甘酸っぱい恋バナ聞いて、アオハルかよ〜!!って言いたいんだよ!」

「尚更言いたくねぇ」

「でもオレもちょっと気になるなァ。あの子が入ってきた時、一番嫌ってたのはギアッチョだっただろう?」

「別に嫌ってねぇよ」

「嘘だね。あの時のギアッチョはもうあの子のやる事なす事全部に舌打ちしてたじゃあないか」

「してねぇ」

「してたしてた」

「実はその頃から好きだった、とか?ギアッチョ、好きな女苛めるタイプかァ?」

「オメーじゃあねぇからそんな事しねぇよ」

「いつオレが好きな女苛めたんだよ」

「嫌ってなかったのなら、なんで?」

「……あー……別に……。当時はこのチームに女なんか来たって取り分は減るし煩えし役に立たねぇし……と思ってたんだよ」

「確かに入りたてのアイツは酷かったな。よく死ななかったと思うぜ」

「でもジョルノとミスタと戦った時、二人ともヤバかったよね」

「あの時はさすがに……アイツもミスタに撃たれてたし、オレもジョルノに喉潰されそうになったしな。アイツが柱の氷を溶かしてなきゃ、オレは死んでた」

「助けられて惚れたって事か?」

「あー……いや、その時はそんなヒマなかったしな……。だが、病院で目が醒めた時、隣のベッドでぐーすか寝てるアイツの顔見てて次はオレがコイツを守らなきゃならねぇなって……」

「……わぁ……」

「甘酸っぱい!!」

「アオハルかよ!!」

「あ〜〜〜ッ!クソクソクソ!なんだよ!!!!」

「良いじゃあないか!素敵だよ、ギアッチョ!」

「お、おー。ペッシ、オメーは良い奴だ」

「イイねぇイイねぇ若いねぇ」

「イルーゾォ、オメーは嫌な奴だ」

「ギアッチョの恋バナはやはり良いな!予想通りだ!」

「メローネ、オメーは気味が悪い」




製氷機と瞬間湯沸かし器 その24

男の子だって恋バナする

2021/03/02〜2021/04/01


だって、ぼくが守らなきゃ



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