「よォ。Buon San Valentino.」
「Buon San Valentino!」
「やる」
「わ、綺麗!グラッツェ!まさかあのギアッチョが薔薇の花束をくれるとはね〜」
「あのなァ……オレだってサン・バレンティノの日には花くらい贈るぞ」
「いやいや一年前のギアッチョを思い出すと感慨深いよ」
「お前だって今日はえらくご馳走じゃねぇか」
「そりゃあまあサン・バレンティノの日にはご馳走くらい作るよ」
「一年前のお前を思い出すと感慨深ェなァ。にしても……これひとりで全部作ったんか?」
「あっ……あー……実はアデレード先輩に手伝ってもらったんだ」
「アッ!?アデレード来たんか!?」
「うん。昼間ね。何、そんなに慌てて。まだ憧れてんの?」
「そうじゃあねぇ!次会った時に何言われるかと思っただけだ」
「アデレード先輩に限ってからかったりしないでしょ」
「そういうんじゃあねぇ。もっと女の子を大切にしなきゃ駄目よ、だとかあなたたちって本当に可愛いカップルね、だとか何もかもお見通しみたいに言うだろーが」
「可愛いカップルね、は言われた……」
「ほらな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!大方予定があったのに、面白がって来たんだろ」
「夜はブチャラティとバレンタインディナーだって言ってた」
「それプロシュートとリゾットには言うなよ。ややこしくなるからな」
「解ってるよ」
「どこのレストランって言ってた?」
「そこまでは聞いてないなー。でもブチャラティがアデレード先輩を誘うんだからそれなりに凄いとこじゃない?」
「来年はオレらもレストラン予約して行くか?」
「んー……畏まったのは苦手だな。休みかどうかもギリギリまで解かんないしさ。でもバールの限定メニューは食べたい」
「なら、決まりだな」
「これは?」
「約束の代わりみてぇなもんだな。お前に」
「開けてみてもいい?」
「あぁ」
「わ!カワイイ!!」
「ゲージは間違えてねぇはずだ」
「新しいへそピ欲しかったんだよ〜!ありがとう、ギアッチョ〜!」
「オイオイ、今着けんのかよ」
「え、だってせっかくもらったし……どう?」
「あー……似合ってる」
「んふふ!あ、メッセージカードもある!」
「それは後で読め」
「えー?なになに?"Sei sempre nel mio cuore"……」
「……あー……」
「…………」
「前にカードやったら喜んだだろ、お前……」
「あ、うん……。嬉しい……ありがと」
「おう……」
「宝物にする」
「おう……」
「ご飯、食べる……?」
「おう……」
「あ、ギアッチョ」
「あ?」
「その、私も、だよ。私の心の中にはギアッチョがいるよ……」
「……スゥゥー……ハァァー……」
「え、なに?」
「やっぱ飯は後だ」
「え、なに!?ギャア!!!!」
「今のはお前が悪い」
「痛い!!ピアス引っかかった!おヘソ痛い!」
「そんなん着けてるからだろーがァァァ!」
「理不尽!!!!」
製氷機と瞬間湯沸かし器 その23
甘い雰囲気はチョコっとだけ
2021/02/02〜2021/03/02
いつだって心の中には君がいた