『……Pront?』
「あっ出てくれて良かった!メローネメローネメローネ!!メーデーメーデー!!」
『煩いな、聞こえてる。今やっとベィビィの教育解放されて眠れるんだ。勘弁してくれ』
「あっあっ切らないで!ギアッチョが」
『アンタら同棲してんだってな』
「ルームシェアね!」
『はいはい……』
「寝ないで!ギアッチョが」
『痴話喧嘩ならホルマジオあたりが面白おかしくしてくれるぜ』
「記憶喪失になったの!」
『……お前が?』
「ギアッチョがだよ!!!!!!馬鹿なの??????」
『冗談だ』
「やめてよこんな時に……」
『それで?』
「どうしたらいい?」
『お前、何かオレの事勘違いしてるだろ?オレは医者でも学者でもないんだぜ』
「助けてよぉ!どうしたらいいのか解んないもん!」
『そう言えばやけに静かだな?ギアッチョはどうした?』
「それが気味悪いくらいに穏やかな表情で静かにコーヒー飲みながらテレビ観てる」
『……因みに何の番組だ?』
「"世界の猫歩き"っていうドキュメンタリー」
『ンッフフッ傑作だな』
「笑い事じゃあないよもう〜!あのギアッチョが微笑みながら“この猫ちゃん可愛いね”とか話しかけてくるんだよ?ゾーッと鳥肌たっちゃったよ」
『そんな事より言ったのか?』
「何を?」
『自分が恋人だって事とかギャングだって事とか』
「いやぁ……どう言ったらいいもんかと……」
『言えばいいだろ』
「他人事だと思って……」
『他人事だからな』
「ねぇ、」
「うわぁ!ギ、ギアッチョ!?ナニ!?猫番組終わったの!?」
「さっきから誰と話してるの?男の人みたいだけど……オレの知っている人?だとしてもオレといる時は他の男と話してほしくないよ」
「……ひょえ……」
『──まるで別人だな。ギアッチョの声でそんな言葉を聞くなんて夢にも思わなかったぜ』
「Pront?どちら様?」
『オッ!ギアッチョか!メローネだ』
「メローネ……?オレのアモーレとどういう関係かな?」
「ア、アモ」
『オレの事も覚えてないのか。オレと彼女、そして君も同じ職場の同僚だ』
「ああ、そうだったのか。それならそう教えてくれても良いのに、プルチーナ」
「プルチーナ」
「ん?オレと君は一緒に住んでるんだから恋人同士だろ?」
『そうだぜ。君と彼女はアツアツなカップルだ。職場公認のな』
「メ ロ ー ネ ! ! ! !」
「やっぱり!こんな可愛い子と暮らせるなんてオレはイタリア一幸せな男だよ」
「〜〜〜か、顔が良いんだからちょっと高めの声で愛を囁くな!!無理!!解釈違い!!!!解釈違いです!!!!宅の!!ギアッチョは!!こんな甘い事は言いませんッ!!」
「照れた君も可愛いよ」
『録音しとこ』
「ンギィィィィ!!!!」
製氷機と瞬間湯沸し器 その17
勢い任せで殴ったら元に戻った
2020/08/01〜2020/08/31
君になんて伝えようか