「Ciao!」

「Ciao〜!ナランチャくん、制服なんて着てどうしたの?」

「俺、すぐそこの高校行ってんだ」

「へぇ〜。学校通ってんの本当だったんだねぇ。学校って楽しい?」

「楽しいよ。授業は難しいけど、間違えても鉛筆で顔刺されたりすることねぇし」

「なにそのやられたことあるような具体的さ」

「フーゴがさぁ〜やるんだよ」

「ええ〜?そんな風には見えないけどなぁ。頭キレる参謀って感じじゃん。肉弾戦には向かなそうだけど」

「それは誰のことを言っているんです?」

「うひゃあ!!」

「よォーフーゴ」

「おい、ナランチャ。学校の終わったらいつものレストランで待ってるって約束しただろ。今日の授業のお復習は大丈夫なんだろうな?」

「ちょっと喋ってただけじゃんか」

「フーゴくんってナランチャくんのマンマか何かなの?」

「僕がこいつの母親だなんてまっぴらごめんですよ」

「何で俺が子供なんだよ!俺の方がフーゴより年上だぞ!」

「え!?そうなの?」

「そんなことどうでもいいだろ。ほら、ノート出して」

「ええ?ここでやんのかよ」

「あのねぇ、僕は君が教えてくれって言うから時間を割いてんですよ」

「解ったよ、やるよ」

「頑張れ〜」

「ん?もう行くのか?」

「勉強の邪魔したら悪いし、フーゴくんがナランチャくんの頬に鉛筆刺すところとか見たくないしね」

「それもそうだな」

「間違えないようにするって考えにはならないのか?と言うかそんなこと彼女に言うなよ!」

「事実じゃんか。この子にいくら猫被ったっていつかはバレるんだぜー!」

「フーゴくん、猫被ってたの?なんで?」

「なんでって……別に理由はないですよ」

「ふぅん?」

「……あ、あの!」

「ヲイッ!!!!テメー人をいつまで待たせれば気が済むんだアア??」

「痛ァーーーーーーッ!!」

「男とおしゃべりとはいい度胸してやがんなぁ?」

「髪の毛を引っ張るなァッ!」

「電話にくらい出ろっつーんだよボケッ!!」

「ギアッチョ!ギブ!ギブ!」

「帰るぞ!」

「ぎゃー!ピアスに髪の毛引っ掛かった!取って!」

「耳をか?」

「馬鹿なの!?!?」

「うるせぇ!とっとと車に乗りやがれ!」

「横暴なんだからもう!ナランチャくん、フーゴくん、またね!」

「お、おう!またな!」

「Ciao.」

「……おい、お前。アイツに粉かけてんじゃあねぇぞ」

「彼女に失礼じゃないのか?その言い方」

「ヒトのもんに手出したらどうなるか解らねぇほどバカじゃあねぇんだろ?」

「アンタも精々逃げられないように気を付けるんだな」

「俺が逃がすと思うのかよ」

「ギアッチョが心配することないと思うぜ?フーゴってばあの子の前じゃあもじもじするだけで、てんで駄目だから」

「うるせぇぞ!このド腐れ脳ミソが!!!!」

「痛ッテェェェッ!!」

「……うわー……マジで鉛筆で刺してるよ……こっわ……」




製氷機と瞬間湯沸し器 その15

獰猛。
それは爆発するかのように襲い、そして消える時は、嵐のように立ち去る……



2020/06/01〜2020/06/30


容赦の無さが好きなんです



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