「よォ」
「あ、ギアッチョ。今帰り?」
「おう。何してんだこんなところでよ」
「散歩がてらあれ見てた」
「あ?あー……ナターレも終わりか。年が明けたことも実感ねぇな」
「私も。でもこうしてクリスマスマーケットが閉じていくの見ると、ちょっとは実感するよ」
「感傷に浸る間もなくベファーナ用の靴下やドルチェがずらりと並ぶぜ」
「エピファニアか……子供の頃はベファーナがちょっと怖かったな。ドルチェじゃなくて
carboneが入ってるんじゃあないかってドキドキしてた。ギアッチョは?どうだった?」
「ねぇよ。そんなもん。どっちももらったことねぇな」
「じゃあ今年は私があげるよ!じゃなかったベファーナにもらえるよ!」
「……俺はガキじゃあねぇぞ。そもそもが暗殺なんかやってる俺らがイイコなわけねぇだろ」
「ギアッチョは一年間、私に優しくしてくれたからきっとお菓子をもらえるよ。ジョークで
carboneに模したカラフルな色のドルチェもあるんだ!それはね、
Porta Fortunaとされてるんだよ」
「へぇ」
「……ベファーナは逃してしまったけれど、私たちはまだ間に合うはずだから」
「何にだよ?」
「ベツヘレムの星にだよ」
製氷機と瞬間湯沸し器 その10
君に幸あれ
2019/01/06/〜2020/02/04
まだ間に合うはずだから