臨也さんと腐女子
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折原臨也という人間は、私が出会った中で、性格はまあともかくとして、見た目は一番の美青年だ。
しかしそれだけではない。
一番BL(ビューティフルライフ)を送るべき人間なのだ。
「やっぱり臨也さんくらいかっこよくて、素敵だと色んな人が誕生日プレゼントくれますよね!」
「何で名前ちゃんはこんな朝っぱらから駅にいるのかな?」
ざっと時間は朝7、8時。
世間は祝日。もちろん私も休日。
池袋の駅にて私が待ち構えていたのは、もちろん臨也さんである。
「臨也さんの誕生日なので、臨也さん観察に来ました!」
「…人の誕生日に手ぶらでストーカー宣言?呆れるよ、全く」
「失敬な!観察だと言ったでしょう!」
私は力任せにばしばし臨也さんを叩くが、何だか本当に折れちゃいそうで手を引っ込めた。このスタイル、やっぱりあなたは受けなんですか…!
「ねえ名前ちゃん」
「いやでも高校生相手なら…」
「名前ちゃん」
「というか精神的には攻めだよね!まさかの誘い受け?」
「名前」「痛い痛い痛い」
臨也さんにつままれた頬肉が悲鳴をあげる。肉をつまむ指まで綺麗なのが何だか憎たらしかった。
「俺のこと、今日一日中観察できたらご褒美あげるよ」
「観察自体ご褒美なんでいいですよ」
「まあまあ。…そうだね、この前君が言ってたシズちゃんと俺の本、出してもいいよ」
「臨也さん太っ腹!愛してる!」
突然の臨也さんの提案はかなりおいしいものだった。当然、私は食いつく。シズイザ同人誌にお許しが出るかもしれないなんて!
「ただし」
臨也さんの整ったお顔がぐっ、と私と距離を縮める。おかげで人並みにときめいた。
「俺が誰かと話してるときは邪魔しないでね」
「イエス、アイキャン」
こうして、片手に筆記用具。片手にハンカチ(涎と鼻血拭い用)。
私の臨也さん追跡は始まった。