濡恋(ジュリアデ) | ナノ



濡恋



セックス後のアーデルハイトは、艶めいていて、漂う色香はそんじょそこらの女では適わない。

うっとりした表情で、ジュリーはアーデルハイトの柔らかな髪に触れた。
頬に当たる指先が心地よくて、アーデルハイトはすりすりとそこに頬を寄せる。
「ジュリー、一緒にお風呂に入って」
擽ったそうな笑い声に甘ったるい声、極めつけに吐息がジュリーの指にかかる。

もちろん、答えは一つ。





民宿の風呂場はとても広いとはいえない。二人で入るとぎりぎり。
向かい合うのがやっとで、少しでも余裕を持たせようとアーデルハイトはジュリーの膝上に跨った。
「気持ちいいな。」
そうじゃなくて、湯越しに伝わるアーデルのぬくもりが。
「ええ。あったかい。」
湯気に乗る無邪気な声が届けば、ジュリーはその心地良さにのまれるようにそっと目を閉じた。
「お風呂で寝ると風邪引くわ。」
アーデルハイトの退屈そうな声と、膝上や胸板に当たる柔らかな感触。
身体を絡み合わせるときとは違う、独特の心地良さにはあと深いため息をついた。
「ん?目ェ瞑ってるだけだって。」
「ジュリー、こっち見て。」
「なんで、そんなんなワケ?」
共に湯浴みを楽しむときは、彼女はいつもこうだ。凛とした姿からは想像できないくらい、甘えたで、幼くて、それでいて愛らしい。
普段は黙って受け入れるジュリーだったが、気まぐれに問いかけた。

「甘えちゃだめ?」
「いや、大歓迎だけど。一緒に風呂入るのが好きだよな。」
そこが気になって、と付け加えた。
「………。私、濡れたジュリーが好きなの。なんだか、可愛いの。」
可愛い?そう言われて訝しげな表情を浮かべた。
「…それって喜んでいいのか?」
「褒め言葉よ。」
「アーデルがそういうなら喜んどくか。」
濡れたアーデルハイトの腕が首に絡みつく。濡れた水滴が彼女の体温と絡まって、その感触にゾクリと背を震わせる。
「やべーって、また勃つ。」
「ジュリー、えっちね。あんなんしたのに。」
大人びた表情からは想像できないくらい、幼い言葉に雄が悦ぶ。
アーデルハイトの太ももに当たる硬くなった雄に、ジュリーの欲情を理解すれば口端を釣り上げた。

濡れても、濡れてなくても。可愛いのは、オメーの方でしょうが。







2011/10/18

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