えみにゃんこといっしょ!(クラサメ×エミナ) | ナノ




えみにゃんこといっしょ!

※エミナ、猫化ぱろ。苦手な方はお気を付けください。
クラサメ・スサヤ
御年、26歳。右腕には、朱雀のトンベリ、左足につい最近、裏庭で拾った、基、ついてきたふわふわ毛並みの仔猫ちゃん。毛色は上等な亜麻色。
但し、このにゃんこ、訳有につき。

只今、トンベリと仔猫と仲睦まじく同居中。


零組での賑やかしい授業を終えると、一息つくべくクラサメは裏庭のベンチへと向かった。
候補生たちからマザーと呼ばれる、ドクターアレシアの月一検診の日。この日は、候補生達も裏庭に集まることがない。裏庭を独占できる日なのだ。
ベンチに腰を下して、緑の生い茂る空気をいっぱいに吸った。
足元にすりすりと擦りつくのは、どこから入ってきたのか問いたくなるふんわり毛並の仔猫。細長い尻尾がやんわりと揺れる。

「にゃあ!」
愛らしい鳴き声と、まんまるの瞳がクラサメへと向かっている。無意識に、くるくると鳴くその仔猫の首根っこを掴んで膝上へと招いた。
指の背で、柔らかい頬を優しく擦ってやるとにゃあにゃあと鳴いて非常に愛くるしい。
尻尾に揺れてみるといやいやと首を振る。
時間を忘れて、名も知らない仔猫を戯れていると遠くから、何をしているのですか、クラサメさんとでも言いたげなトンベリの視線に気付いた。
猛ダッシュで近づいてくるトンベリに、みゃっと鳴いて仔猫は恐怖に縮こまった。
響く鐘の音に、ぴくりと反応すれば首根っこを掴んで仔猫を地へと下した。別れが訪れると感じた仔猫はみゃーみゃーと寂しげに鳴いて、クラサメの足元に縋る。
可哀想だけれども、これ以上仔猫の相手をしていられないと、視線でさよならと告げて背を向けて歩き始めた。
「………。」
トンベリも包丁片手に、仔猫を凝視。にゃあにゃあっと鳴かれると、戯れてみたくもなり1pだけ身体を動かした。
しかし、それも叶わずに、帰ろうか、と、視線で告げられたトンベリは鳴きじゃくる仔猫を振り切ってクラサメの後に続いた。

離れていく二人をよたよたと小さな身体で追いかける。
「にゃっ、にゃー!!」
草を踏む音の合間に聞こえてくる鳴き声が、さみしいさみしいと言っているように聞こえて、クラサメとトンベリは胸が痛んだ。


聞こえていない振りをして数歩、クラサメは振り返って仔猫を見つめる。トンベリも、同じく振り返った。
放っておけないと、クラサメとトンベリは顔を見合わせて自宅へとそのどこからやってきたかもわからない、寂しげな仔猫を自宅へと招くことにした。


「ミルクでいいのか。」
トンベリに問いかけると、いいじゃないんでしょうかと同意を得られたような気がしたのでお鍋にミルクを注いで数分温めた。


人肌程度の温度に調整して、小皿に注いだミルクを仔猫へと与えた。初めは、怯えていた仔猫。見兼ねたクラサメは指先にミルクをちょんとつけて、口元へと持って行く。
すると、安心したようにぺろりと舐める。ざらつく舌に擽ったそうに目を細めて、ミルクをぺろぺろと舐める仔猫の頭を撫ぜた。


お風呂に入れて、艶々毛並みが嬉しそうな仔猫はソファーでころころと転がってトンベリと戯れている。
微笑ましい光景を見つめつつ、翌日の準備を始めた。
翌日の講義の準備を終えたクラサメは、身体を暖めて、トンベリにおやすみと告げると、零時前にはベッドへと入っていた。
仔猫がにゃあんっと鳴いて、長い尻尾を振ってクラサメを呼ぶ。上半身を起こして、顎を優しく撫でておやすみと呟いた。
それでも、遊んで遊んでと仔猫はクラサメの指を舐める。冷たくも出来ないと両手を差し出すと待っていましたと言わんばかりに、よじ登るとちょこんと掌に乗っかる。
大きな瞳に見つめられてしまうと、どうにも甘やかしたくなる。
撫でていると、仔猫も心地よくなってきたのか尻尾を揺らして眠りへとついた。
漸く大人しくなるとクラサメも、再びベッドの中へ。

眠りについた、AM2:00――。

ごそごそとベッドに潜り込むのは人肌のようなぬくもり。

「ご主人サマ、温かいミルクとおふとんありがとにゃ。」
擦り擦りと頬ずりされる感触と、胸板に当たるのはむにゅっとした柔らかい感触。
夢か現か、分からぬ状況で腕にかかる柔らかい髪を優しく撫でていた。

にゃあとなく声が聞こえて、クラサメは目を見開いた。
「!!!」
暗闇にうっすらと見えるのは、人影のようなものだった。


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2012/01/27