Sleeping Beauty(クラサメ×エミナ) 零組の隊長はどうやらお疲れのようで、会話の相槌がなくなったかとエミナがクラサメへと視線を移すと、意中の彼は肩に寄りかかって眠っていた。 「クラサメくん、おねむですか?」 敢えての問いかけ、だが……。 「………。」 応答は無い。微かに聞こえるのは呼吸だけ。 デート中に居眠りとはどういうことですかという不満よりも、眠る位に心を許してくれているのだと思えてエミナは心底嬉しかった。 ただ、眠るのならばベッドの方がいいのではないかと横顔を見つめる。 「クラサメくーん……。」 名前を呼ぶと一瞬眉を寄せて反応を見せてくれたが、まだまだ夢の中のようでそれ以上の反応は無い。 こうなったならばベッドまで運ぼうと意気込んでは見たものの、細身ではあるが筋肉のしっかりついたクラサメを女一人の力で寝室まで運ぶのは容易ではない。 どうしようかと悩んでいると、マスクの外れた口元を眺めていた。 いつもこの唇で愛されているのかと考えると、どうにも落ち着かずにそわそわと肩を揺らした。 時間を忘れて暫く眺めていると、クラサメが目を見開いて視線をエミナに向ける。 「違うよ…!キスとかしようとしてたんじゃなくてネ……ッ、ん…ぁ…。」 「エミナ……。」 ぎゅっと抱きしめられたかと思えば、エミナは天井を見上げていた。眺めていた唇が重なって、舌が挿入される感触に背を反らして反応を示す。 「ンッ、ふ、ぁ……くら……ッ。」 勢いの有る深いキスに、襲うのはくらりと眩暈。自らも舌を出して絡めようとしたその矢先――。 「……っ。」 ちゅっと水音を立てて唇が離れたかと思うと、クラサメはエミナの肩口でまた静かに寝息を立てた。 「クラサメくんのばか。」 ソファーに押し倒されて、深い口づけまでして、その気にさせておいて。 身体に触れるのは、男のぬくもり。籠る熱の発散を封じ込められたエミナは、せめてもの仕返しにクラサメの首筋に吸い付いて紅い痕を一つだけ残した。 翌日の、クラサメの反応が楽しみだと、エミナは小さく笑って広い背中に手を回した。 - - - - - - - - - - 2012/01/25 |