すりーぴんぐびゅーてぃー(ナイン×エミナ) | ナノ

すりーぴんぐびゅーてぃー(ナイン×エミナ)


嵐のようにやってきて、エミナのお手製のクリームシチューをたらふく食べたかと思えば、喋るだけ喋って疲れてしまったのか、ソファーの上ですやすやと眠るナインにエミナは視線を向けた。
コラァとか、オラとか言葉遣いは荒い割に寝顔は年相応だと微笑ましくなった。

「……どうしよう。気持ちよさそうに寝てる。」
アンティーク調の置時計に視線を向けると22時過ぎ。寮に帰さなければと思い肩口に触れようとしたが、思いとどまった。
あまりにも気持ちよさそうに寝ているので、起こすのが憚られるのだ。
不満を潜ませる表情とは異なり、夢見心地の幸せそうな寝顔を見ると、このまま朝までとも思ってしまう。

武官としては、候補生を自宅に泊めるのは宜しくない行為。笑顔を崩して、頬に手を当てると首を傾げて悩んだ。
「うん、今日は仕方ないよ、ネ?」
腰に片手を当てて、数分だけ悩んで出した答えはこのまま暖かく見守るという事。
気持ちよさそうに眠るナインを叩き起こして、帰りなさい!などいう事はあまりにも非道過ぎる行為のような気がして。
無理やり自分を納得させると、腹部を出したまま眠るナインに穏やかな笑みを浮かべた。


「風邪引いちゃいますよー。……、わぁ……お腹、ぺったんこ。」
ソファーに腰を掛けて、捲りあがった黒シャツを下ろそうとしていたが、脂肪のついていない引き締まった腹筋に気付くとそこに優しく触れる。


「ンっ?……おおっ、んだよ……。」
「ぁ……。起こしちゃったカナ?」
硬い腹部が羨ましいと撫で触っていると、微睡から覚醒したナインと視線がかち合った。
「はよ。あ゛!フェラでもしてくれんのか。エロ過ぎ。」
目を擦りながら上半身を起こして恥ずかしげもなくさらりと卑猥な事を口にする。
「やだぁ、しません!もう、寝顔以外は可愛くない。」
気恥ずかしさに耐え切れなくなると、ふいと視線を背けた。
「可愛くなくて上等だ、コラァ!可愛いのはエミナせんせー、一人で十分だろ!」
ふあっと欠伸をして、またしても恥ずかしげもない台詞を吐くナインに困ったように眉を寄せた。

しかし、エミナが何も言わないでいるとナインも言い切った台詞が気恥ずかしくなったのか背を向けて眠りにつこうとした。
「……耳まで真っ赤。本当は、恥ずかしかったんンだ。かわい。」
ソファーの軋む音が聞こえると、伏せていた視線を戻して真っ赤になったナインの耳を見つめた。
弾む声音で耳元で囁くと、ナインの肩がぴくりと揺れる。
聞こえてくるのは、わざとらしいくらいの寝息。
「寝ちゃった?おやすみ。」
狸寝入りということを容易に理解したが、追求せずに小さく笑った。

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2012/01/25
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