ある雨の日のセックス(ぬるえろ?/クラエミ) 豪雨を走り抜けて、辿り着いた安全地帯で二人は安堵のため息をついた。 頭皮に入り込む雫にエミナは身震いをすると、濡れて張り付いた白シャツを抱きしめてなんとか自身の身体を温めようと試みた。 隣を見れば、クラサメもまた同様だった。紫紺の髪はぐっしょりとぬれてこめかみからは止めどなく雫が垂れ続けている。 拭っても拭ってもおさまりのつかない雫に、クラサメは戸惑う。それが、何だかおかしくてエミナは声を上げて笑った。 「あはは、お互いびっしょり」 「エミナも、濡れたな」 無論、雨雫はクラサメの衣服も濡れしていた。張り付く衣服が気持ち悪くて、眉を寄せる。 「うん。寒いネ」 「寒い、か」 エミナと視線がかち合えば、この先の事が容易に把握できた。先ずは、濡れた身体を温めようと向かったのはシャワールーム。 では、無かった。 「ストッキング脱がすの好きだよねぇ」 濡れたままの身体を真新しいシーツに預けて、クラサメの行動を見守った。クラサメの手がスカートの中に忍び込むと、薄い黒のストッキングに触れる。 柔肌に爪を食い込ませて、ゆっくりとそれを下ろしていく。頼りなくも守っていてくれた黒いストッキングがはがされると心許ない。 むき出しの脚を、擦り合わせて寂しさを拭った。 「本当は、破ってみたいって言ったらどうする」 無表情が破れた。心底楽しいのだろう。クラサメの口端がいやらしく吊り上った。 交えた冗談は、クラサメの本心のようだった。 紫紺の髪が両足に割り込んで、内股を舌先で舐める。クラサメの指先が、内股に食い込むとエミナはまだ声は出さないと唇を噛んだ。 「……へんたーい。そういうプレイが好きなんだー」 埋まる紫紺の髪をくしゃりと掴んで、エミナは揶揄をした。 怒るかと思っていたが、少し待てば静かな声が返ってきた。 「否定はしない」 「クラサメくん、カヅサと同じくらいヘンタイさんかも」 茶化すように言うエミナに、クラサメは怪訝そうに眉を寄せて首を横に振った。 「あいつと一緒にするな。種類が違う」 ふと、クラサメの脳裏に片指で眼鏡を押し上げて不敵な笑みを浮かべるカヅサが過った。行為の最中に、背筋が震える。 忘れるがために、黒の下着に視線を向けて舌先で割れ目をそっと舐めた。 既に湿っている其処は、外からの付着か、内側から溢れたものか分からない。 「……っ、カヅサが聞いたら、悦んじゃいそうな、ァ、セリフ」 愛するクラサメからの言葉なら、何でも前向きに捉えるであろう大切な友人にふっと笑う。 「カヅサの事はもういいから、こっちに集中しろ」 割れ目の部分の薄い布地を引っ張って、クラサメの指先はぷっくりと浮き上がる恥部の突起を指で撫でた。 クラサメの熱が、膣を覆うと表面は冷たいのに内側だけが蕩けてしまいそうなくらいに熱い。 直接、その舌で舐めてほしいのに、それは未だしてくれない。 「他の男の事考えるなってこと?」 雨の日のクラサメの愛撫はじれったくてねちっこいことを知っていた。降参しない限り、こうやって恥部を舌と吐息で苛めつくす。 ブラの中で乳首は、触れて欲しそうににツンっと上を向く。エミナは無意識の中で黒レースのブラを押し上げてクラサメを待った。 ぬるりとした恥部を、布越しに夢中になって舐めまわし、その動きをぴたりと止めて見上げた。 「そうだ。エミナの中には、私だけいればいい」 歯の浮くような台詞を動揺もせずに言い切られると、問いかけたエミナ自身の方が気恥ずかしさに居た堪れなくて目を伏せた。 指先が優しく割れ目を張ったかと思えば、突如下着の中に指が入り込んで乱雑に暴かれた。 薄く目を開くと、愛欲を求めるクラサメの視線。 ちゅくちゅくと音を立ててクラサメは、割れ目の浅い個所をいじくる。頬に唇が軽く触れるだけで、濃厚な口づけは未だお預け状態。 「あっ、ッ、クラサメくんしか見てないよ。まだくれないのかな?我慢できないの」 ひんやりとした胸板を撫でて、その指先を胸板に下していくと締まった下腹部を撫でる。 隠喩に乗せて、クラサメが直接欲しいと鳴いた。口端を釣り上げたままのクラサメが、乳房に触れる気配も、恥部を割って雄を挿入する気配もない。 むうっと頬を膨らませると、濡れたシャツを脱がして乳首を指先で引っかいて誘う。 けれども、クラサメの手はエミナの腕を掴んで薬指へとキスを送る。 膣奥から垂れる愛液を指先に掬って、クラサメはその指を衣服の中に入れて半勃起する陰茎の裏筋へと塗りつけた。 そして、雄を取り出すと先走りで溢れる亀頭に付着したエミナの愛液を塗りつける。 肉棒に触れることよりも、エミナにこの自慰まがいの痴態を見られているという事に興奮して肉棒の先端からは汁が溢れ出していた。 求めるエミナの声に気づけど、クラサメは首を縦には振らない。 じゅくじゅくに濡れた膣内が疼いて、焦がれる亀頭の先に絡み付く己の体液を羨んだ。 「いいもン。くれないなら、奪っちゃうから」 流れる髪を掻き上げて、ふらふらになりながらもクラサメへと近づく。男の肉塊を根元から掴むと、溢れる先走り汁を掬ってクラサメと同じ行為に及んだ。 ふやけそうな程に濡れた膣に、それを先に招いて見つめる。 「ンぅ……、はァ……これ、きもちいねぇ。はぁ。あン」 己の体液とは異なる液が膣内でじんわりと広がると、エミナは触れてくれない自らの恥部をクラサメの愛撫を想起して、慰めた。 いつもしてくれるように、浅い場所の膣壁を引っかいて腰を揺らす。クリは、空いた手で押し潰して快感を得る。 目の前に、一番の快楽を与えてくれる肉棒が有るのにもらえないのはもどかしい。 大きな乳房を揺らしつつ、指を増やして蜜の溢れる膣肉を思う存分引っかいた。 ねっちょりとした体液が割れ目から溢れ出すのもお構いなしに、エミナは自慰に勤しんだ。 それを見ていたクラサメも、己の右手で熱い肉棒を掴んで上下に擦る。オナニーなんて、久方ぶりすぎて力加減を忘れてしまった程。 先端を指で引っかいて、エミナと同じように自らを両手で宥めた。 交じり合った方が、深い快楽を得られるという事は理解していたのだが、自慰の見せ合いには異常なまでに興奮した。 「はァっ、あンっ、きもちいけど足りないよぉ。クラサメく、っ、のが一番」 濡れた指先をクラサメの指に塗り付けて、エミナは肉棒を必死に扱くクラサメの手を取って、先走りで濡れた指先を舐めて啜った。 膣だけでなく、股までびっしょりと濡れる様に誘われたクラサメは、エミナを四つん這いにすると後ろから陰茎を突きたてた。 「ふあっ、あんっ、あ……、やっときた。おっきいのでついて」 待ちに待った太いペニスに、エミナは全身を震わせて悦んだ。膣内を押し広げて入ってくる肉棒を、きゅうっと締め上げて早々に腰を揺さぶる。 「バックでヤると、っ、顔が見えないな」 入り切れない睾丸が当たって、そのぬくもりを感じたエミナはまた膣奥からじわりと蜜を漏らした。 「んっ、あっ、みた、い?く、らさめくんのことっふああっ、考えてえっちな顔、してるよ」 喘ぎの合間に、掠れた声で呟く。全身を貫くほどの深い快楽についていくことに必死だった。 見えぬとも、エミナの表情を想像するだけでクラサメは興奮していた。エミナの揺れる乳房を掴んで上下にこねくり回す。 パンッパンッと激しい音を立てて、後方から攻め続けた。カリが内壁に引っかかるように腰を揺さぶった。 結合部からは、水泡がとめどなく溢れて肉棒の滑りをよくしていた。 「あっ、あぁんっ!くらさめの、おちんぽ、しきゅう、あたって……あっ。ひゃっ。ワタシも、顔……みたい、の……」 エミナも上下左右に腰を揺さぶって、竿からの深い快楽を得ていた。口端から垂れる唾液を気にも止めずに、円を描いて腰を揺らす。 肉のぶつかり合うと音、卑猥な粘着質、尻に当たる生暖かい睾丸に、クラサメと繋がっていることを深く感じ取った。 「……俺も、っ、エミナと、っ、同じようにだらしない顔をしている」 途切れ途切れのエミナの声を拾って、繋げて、掠れた声で返した。 不意に戻るは、素の声。 「やっ、やぁ、イッちゃ、くらさ、いっちゃ!!」 エミナも、快楽に崩れるクラサメの顔を想像して身震いと、背筋を走る快楽に身を任せて絶頂を迎えた。 「はっ、あっ、ナカ、いっぱいだして」 絶頂を迎えても、クラサメは膣肉を貪っていた。気の遠くなるような快楽の中で、エミナは自身の胎内での射精を求めた。 「っ、えみ、な……」 くぐもった声の後、奥深くに突き刺さった肉棒から精液が流れ込むと、クラサメの絶頂を知る。 射精が終わるまで、結合は解かれなかった。 「クラサメくんも、ワタシもヘンタイだね」 互にの痴態に欲情する姿は、傍から見れば異常で侮蔑的にも見える。 けれども、自分たちにはその言葉がお似合いなのだと、クラサメは、ベットに俯せになるエミナを抱きしめた。 2012/06/29 |