雨の日には、焦げるぐらいにいちゃらぶ | ナノ




雨の日には、焦げるぐらいにいちゃらぶ(エース×シンク/R15)


皆にヒミツでいけないことをしている自覚は有る。
しかし、やめられないから困りもの。
ベッドの中で気持ちいい事して汗びっしょりになって、シャワー浴びようなんて話していたことが随分と前の事のように感じる。
心地いいお互いの体温が重なって眠りについたのは夕陽も落ちる頃。
気怠い体を慰める仮眠。
下半身は互いの体液でびしょびしょで、ぐちゃぐちゃ。けれども、不快感は無く、寧ろ、このねっとりとした体液すら愛おしく感じていた。
性行の後の体温のまま眠りにつくのはエースとシンク。額には汗がじっとりと滲んでいた。
暑いけれど、離れたくない。

我慢勝負で先に声を上げたのはシンクだった。
「……うきゅー。暑い!エース、暑いよぉ」
裸でべったり絡み合っていればそうだろうと、体温の高いシンクの身体は暑いと喚く割には引っ付いたまま離れない。

「うん。離れたらいいんじゃないかな」
微睡の中からゆっくりと目を開くエースは、優しい声音で突き放す様に呟く。冷たいようだが、的確な返答にシンクは唇を尖らせた。
「……うわー、冷たい―。そういうんじゃなくてー、ブリザラ飛ばすとか考えて欲しいなぁ」
そんな発想を思いつくのは、シンクくらいだとエースは甘ったるい声を遠くで聞く。
幾らなんでもそんな事に魔法を使う気にはなれなかったので、エースはベッドサイドに置いてあるであろうリモコンを探した。片手でそれらしきものを掴むと、エアコンのスイッチのオンに触れる。

数分後には狭い室内がひんやりと冷える。これでシンクも大人しく眠ってくれるだろうというエースの目論みは儚くも崩れた。

「エースさむい。寒いよぉー」
裸に直撃する冷風にシンクは背を震わせた。今度は寒い寒いと呟いてエースに擦り寄ってくる。
胸板に触れる手つきが、いやらしく直接感じる風からの刺激も相まってエースは背を粟立たせた。
「エースは、寒くなーい?」
顎下への口づけが、これはまた卑猥に感じる。雄の本能を刺激するような触れ方に、エースは緩く唇を噛んで堪えた。
「僕は大丈夫、だ。じゃあ、ファイラで……」
シンクに毒されたエースは、冗談には程遠い至って真面目な顔で言う。

「ちがーう」
「ファイガの方が良かったか?」
「ちーがーうーのー。こういう時は、もっかい暖かくなるんだよ!」
むうっと頬を膨らまして、エースの胸板に手を置いて見下ろした。くるくるの柔らかい髪が頬を掠めてくすぐったい。
シンクの長い爪が、エースの乳首に触れてピンっつ爪弾く。徐々にシンクの手は、昇ってエースの頬に触れたかと思うと柔らかい髪に触れて掻き乱す。
「……、またぐしょぐしょになりたいのか?」
シンクは、濡れたままで半渇きの恥部を、エースの下肢に押し付けて戯れる。
「なりたーい。でもね、一個、間違ってる。ふふっ、次は、わたしがぐしょぐしょにする番なんだよぉ?」
シンクは、にっこりと笑ってわざとつけた首筋の紅い痕に視線を向けてそこを一撫でして反応を楽しんだ。
「僕だって、ぐちゃぐちゃにしたい」
甘ったるい声は、脳に重く響いて、理性を砕く。その威力は、計り知れない。

「交渉せーりつ?エースぅ、あったまろー」
胸板に擦り寄る様はまるで仔猫のよう。我儘で気まぐれ仔猫の可愛いおねだりにNOは無い。

エースは、紅い舌を、シンクのまだおさまったままの乳首に這う。
シンクの細い腕が、エースの頭を強く抱きしめた。



「はう、気持ちよかったぁ。エース暑いねぇ」
白い肌をほんのりと紅く染めて、シンクはエースの胸板にもたれかかった。

そしてまた、初めに戻る。
雨の日には、することが無いのでこんなえっちなことの繰り返し。




2012/06/18