性的欲求MAX(シャルヤム) | ナノ

性的欲求MAX(シャルヤム)


エリオハプトでは、女性の乳房が男性にとって性的魅力につながる訳ではなかった。
そこらかしこで乳房を恥ずかしげもなく露わにして、街中を歩いている。幼いころから見慣れていた為、シャルルカンもそこへの性的欲求を見いだせないでいた。
のは、ヤムライハに恋をする以前までの事。

新しい魔法の術式を完成させたヤムライハはご機嫌だった。王宮の廊下を歩く足取りも軽い。
「……、お前さー、なんかすげームカつく」
突如現れたシャルルカンに、珊瑚でできた杖を片手に身構える。何を言われるかと思えば、威嚇を緩めてその声を聴いた。
「……なによ、私だって、あんたにむかついてるわよ」
釈然としないといった様な目でシャルルカンから上から下まで眺められては居心地が悪く、ヤムライハはその細い腕で杖を谷間に押し付けて自らの身体を抱きしめて身を守る。
「んー、なァんか、腹立つんだよ」
唐突に難癖をつけられるのはいつもの事だったが、普段の揶揄するような目とは違う。
どこか男を感じさせる視線だった。
ねっとりとした視線に恐怖すら感じていた。
片手で銀糸を掻き上げて、シャルルカンはヤムライハに近づく。ヤムライハは男の影に覆われた。
「な、何よ!こんな廊下で突然喧嘩売ってんじゃないわよ」
迫られては逃げるを繰り返していると、壁にべったりとくっついてしまってヤムライハの逃げ場は無くなってしまった。
じりじりと近づくシャルルカンの指先が、頬をなぞって胸元へと向かうのを許した。

「ムカつく。なんで、お前にはこんなにドキドキしちまうんだよ」
どんなに美人を見ても、心は華やかになったとしても、体中に熱が籠って煩いくらいに鼓動が高鳴ることは無い。
他の女性の乳房を見ても、苦しいほどの性的欲求はまるで沸かないのに、と、シャルルカンは唇を噛んだ。
どうしてこうもと言いかけた言葉を噤んだ。

「ちょっと、やだ。シャル近いからやめて」
花緑青の瞳が近づくとヤムライハも目が離せない。谷間を行ったり来たりする指先に背は仰け反る。
先程の威勢は無くなって、潮らしくシャルルカンの緩い愛撫になすがまま。
ほんのり上気した頬と、熱を持った柔肌。
シャルルカンの指先が、ヤムライハの熱を確認して、記憶する。
太陽の照りつける真昼間から、見境もなく情けも知らない情欲が啼く。

「ホンット、むかつくぜ。いちいちムラムラさせんじゃねぇ」
他の女の身体を見てもこうはならないのに。
男を知らないであろう純粋な反応にも、興奮させられる。

乳房に触れて、細い腰を激しく揺さぶって、哭かせたい。



乳房どころか、ヤムライハのすべてがシャルルカンの性的欲求に繋がる。

両腕でヤムライハを囲って、切なげに呟いた。

「むかつく、ぶっ壊してぇな」

大好きだと、意味を込めて。

2012/06/16




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