ゆび、かんしゃ。 | ナノ




ゆび、かんしゃ。
「朽木隊長の指って綺麗ですね。」
ほうっと感嘆の声を上げて、乱菊は白哉の右手を取ってすらりと伸びた無駄な脂肪の無い薬指を見つめた。
「……、他人と比べた事がない故、よく分からぬ。」
ソファーにゆったりと腰を下ろして、されるがままに乱菊の行動を見守った。
武骨な指を見て何が楽しいのだろう。
白哉は見慣れた己の指よりも、ころころと変わる乱菊の表情を見ている方が幾分も楽しかった。

「爪なんかも綺麗に整えられてますしー、朽木隊長の指って好きなんですよね!」
「身嗜みだ……。」
相も変わらずストレートに気持ちをぶつけてくれる乱菊に、どう反応していいのか分からずに目を細めるだけにとどめて当たり障りのない返答をする。

「いつも、ありがとうございます。」
「どういう、意味だ?」
下世話なことを言えば、肌を重ね合っている時の事だろうと分かってはいても知らぬ振りをして問いかけた。

「分かってるくせに、いつも優しく扱ってくれてありがとうございます。」

愛し合っているのだから、当たり前だと声に出さずとも心の中で呟いていると、ねっとりとした生暖かい感触が指を伝って爪先に辿り着く。
両手で指を持ち上げられて、ちゅっと音を立てて乱菊は白哉の指を舐め始めた。
白哉の指を、いつも愛してくれる男のアレに見立てて唇全体を使っての愛撫。
「ふっ、んぅ……。」

まるで、口淫をするかのような仕草だ。
錯覚して、くらりとなってしまいそう。
暖かく柔らかな舌が絡みついて、愛おしそうに指先を舐める。
「ふっ、……、指、キモチイイですかぁ?」
ちゅくと、唾液が爪の間に入り込む感覚に気持ちは高ぶっていく。
答えの代わりに、柔らかい唇を押し開くかのように指先を押し込んで暖かい咥内を感じた。
「やぁ、くすぐったぁい。」
くるくる笑う顔が可愛らしくて、歯列をなぞって戯れる。

指で、乱菊の咥内を感じるのも刺激的でいいものだ。ナカで優しく動かすと、ちゅうっと吸い上げられて指が引っ張られる。
白哉の雄の部分が目覚めてしまいそうだ。

疑似フェラに、こんなにムラムラしてしまうなんて想定外。

頃合を見て引き抜くと、纏わりついた唾液を見つめてねっとりと舌を這わして、丁寧にそれを舐めとっていった。




艶やかなその仕草に、乱菊は魅入っていた。男性なのに、仕草がやけに色っぽく感じる。
「指を舐られるのも、悪くは無いな。」
「もうちょっと舐めたかったんですけど、ダメ?」
「駄目だ。次は、指ではなくて……。」
あっさりお断りされて、耳打ちされた要求に乱菊の心の音は一瞬高鳴って、紅くなる頬を隠すように頷いた。










2011/11/29