mobile text | ナノ




君と初めてのはなし


細い細いと思っていたが、いざ触れてみると、赤司の身体は案外柔らかかった。まな板だと思っていたけれど、案外胸はある。着やせするタイプだったんだな、と赤司の首筋に唇を寄せながら青峰は思った。

必要最低限の荷物だけを持って来たという赤司のボストンバッグに寝間着は入っておらず、じゃあどうするのかと問えば「大輝のを借りればいい」と言った。まあ別にいいかと了承し寝間着代わりのスウェットを貸し与えたのはいいけれど、体格差のせいでズボンがずり下がってとても邪魔くさかったらしく、結局赤司は上だけを着て寝ることになった。いわゆる彼シャツ状態の彼女に「誘ってんのか」と冗談で尋ねれば、「別にそんなつもりはないけれど、したかったらどうぞ」とあっさりお許しをいただいてしまう。おいおいこいつ誰にでもこんな感じじゃねーだろうなと不安になりつつも、こんなおいしい据え膳は食わない方が阿呆だろうと、青峰は裾からちらちら見える白い太ももに誘われるように赤司を押し倒したのだった。

スウェットを鎖骨あたりまで捲り上げ、完全には脱がせないまま白い身体を露出する。肌に感じる空気が冷たかったのか、赤司はふるりと小さく身体を震わせた。寝る前だから、ブラジャーはつけていない。震える身体に合わせて小さく揺れる胸は決して大きくはないけれど小さいというわけでもなく、青峰の手によく馴染んだ。

「んっ…」

ためしに揉んでみれば、小さく声を漏らす。やわやわと形を変える弾力のある感触が気持ち良い。右手で片方の胸を揉みながら、もう片方の胸で震える薄桃を舐めてやると、赤司は大げさに身体を跳ねさせた。その反応の良さに気を良くした青峰は、そのまま小さな突起を舌で転がすようにしてしゃぶる。

「ひっ…ぁっあ、や、だいき、だめ」

ふるふると力なく首を振りながら、赤司は青峰の顔を自分の胸から引き離そうと小さな手で必死に抵抗を試みる。けれど震える手に力などすでに無く、青峰の短い髪をくしゃくしゃと掻きまわすだけでなんの抵抗にもなっていなかった。

「だいき…っ、は、なせ、…ッぁあ!」

カリ、っとわざと歯を立てて甘噛みしてやれば、予期せぬ仕打ちに身体を跳ねさせ、高い声を洩らす。噛んだところを労わるようにもう一度舐めた後、青峰はやっと赤司の乳首を解放した。そしてそのまま胸から腹へとなぞるように舌で辿る。ひ、ひっ、と掠れた呼吸を繰り返す赤司は相変わらずくしゃくしゃと青峰の髪を乱していたが、青峰の舌が臍の窪みにたどり着いた瞬間、悲鳴のような声を上げた。

「ぅああ!や、や、そこやだっ」
「何お前ヘソ弱えーの?」
「し、しらなっ、ぁ、いや…も、舐めるなぁっ」
「いてっ、髪引っ張んなって」

あまりにも嫌がるから、仕方なく一旦舌を引っ込める。瞬間、ほっとしたように赤司の体から力が抜けるものだから、これはチャンス、と青峰は手早く赤司が身に着けていたショーツを取り去った。

「ぅえ?!あ、ばか、見るな…!」
「きこえませーん」
「ばかっ…!だめだ!あ、やだっ」

あっさりと脱がされたことに唖然としている赤司がはっとしたように抵抗を始めるけれど、腕力に任せて押さえ込んでしまうのは容易い。秘所を隠そうとするように閉じられた足を無理に開かせ、ばか、いやだと赤司が悪態をつくのを無視してそこを凝視していたら、彼女の肌はみるみるうちに桃色に染まった。それがどうにも美味しそうに見えて、青峰は本能のままに内腿に齧り付く。びくんと大きく足を跳ねさせた赤司が断片的に喘ぐ。甘噛みして、吸い付いて、独占欲の証を刻むように赤い痕をつけて。疲れてきたのか抵抗する力はすでに弱く、赤司はされるがままに身体を震わせ、与えられる羞恥に耐えていた。

いくつか痕を残したあと、青峰は視線を内腿から移動する。青峰に押さえられているせいで開かれたままの足の間にある秘所はすでに愛液で甘く濡れていて、青峰はそこに口付けるようにして吸い付いた。驚いたのは赤司の方である。まさかそんなところを舐められるとは思っていなかったため、軽くパニックになって逃げるように足をばたつかせた。依然足は捕らわれたままなので大した抵抗にはなっていなかったのだが。

「いやだぁあっ、やだ、んん…だいきっ」
「ん…なにが嫌なんだよ?」
「そ、れっ…なめる、の、やぁあ…んく、やだぁ…」
「やだって言ってる割に、濡れてきてんぞ」
「うるさ、言うな、あんんっ、ん」

青峰の髪をぐいぐい引っ張り、やだやだと首を振る赤司は稚く、庇護欲と嗜虐心を同時に刺激される。ぐらぐらと揺らぐ二つの矛盾を抱えた青峰が選んだのは、結局苛めたい泣かせたい、という子供染みた欲望で。とろりと零れる愛液を掬い、指に潤いを与えた後、彼女の秘所にそうっと一本、指を潜り込ませた。

「い、痛っ!いたい、だいきっ…」

まだ半分も入っていないのに、赤司が痛いと悲鳴を上げる。驚いて顔をあげた青峰は、そこで赤司とがっちり視線が合った。心なしか青褪めているように見える赤司の、両の目からぽろりと涙が零れ、青峰はぎょっとする。慌てて指を引き抜くと、赤司はぽろぽろ止まらない涙をそのままに腕を伸ばし、ぎゅうっと青峰に抱きついてきた。

「そんな痛かったか?」
「ん、どうしたらいいか、わからない…こわい、大輝…」
「どうしたらっつっても…他の男とするときはどーしてたんだよ」
「したことないからわからない」
「はあ?!お前もしかして処女か?!」
「だったらなにか?」
「何か?じゃねーよ馬鹿野郎!」

身体を好きにしていい、だなんて生意気な発言をするものだから、てっきり経験済みなのだと思っていた。けれど赤司が処女だというのなら、今までの初々しい反応も理解できる。それにしても女は初めてに拘ると聞いたことがあるが、赤司はどういうつもりなのだろう。彼女の貞操観念は、青峰にはよくわからない。むむむっと眉を寄せる青峰にしがみついてぐすんと洟を啜りながら、赤司は囁くような掠れ声で「続けて」と言う。

「続けろって…でもお前怖いんだろ?」
「そのうち慣れるだろう。これは契約のうちなんだし、お前がしたいのなら強引に進んでくれて構わない」

赤司の言葉に、青峰は酷く苛ついた。確かに契約は存在するけれど、青峰は赤司に痛い思いをさせたいわけではない。青峰にとっての赤司は仲間でありくさっていた自分を咎めず見守ってくれた大事な存在であり、つまり、大切にしたいのだ。

「…やめた」
「え、」
「今日はもう無しにしよーぜ。今は無理でも少しずつ慣らしてきゃそのうち平気になるだろ」
「今だって平気だ」
「平気だったら泣かねーだろ。ほら、パンツ穿け」
「むう…」

中断したことで赤司は不機嫌な表情になったが、この選択は間違っていなかったと青峰は思う。衝動に任せてなにかをするのはとても危険だ。特に対象が人である場合には。そう、判断して行動できる程度には、青峰は大人になっていた。

最後までいけなかったのは残念だけれど、泣きじゃくって怯える赤司という超レアな姿が見られたからよしとしよう。身なりを整えた赤司が膨れっ面のまま、青峰の隣に潜り込んでくる。それをぎゅうっと抱きながら、青峰はやれやれと目を閉じたのだった。







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -