mobile text | ナノ




おはようございました!


◎黒赤双子パロ
黒子がお兄ちゃんだよ




我が双子の弟君は、どうしようもないくらいのひどい低血圧である。基本的に時間もほかの事に関してもきっちりかっちり人間の癖に、朝だけはどうしても起きれない。放っておくと二度寝三度寝は当たり前である。休日なら思う存分寝かせてやれるのだけれど、生憎僕らはまだ中学生なわけで、つまりは週に五回、早起きして学校に向かわなければいけないわけで。だから僕は心を鬼にして、今日も弟を起こすのです。

「征くん、朝ですよ」

おんなじベッドで寝ているはずなのに、僕が起き出して歯を磨いてご飯を食べて、着替え終わってもまだ、征くんは僕がベッドからいなくなったことに気づかない。それどころか僕の枕を抱き枕のようにぎゅうっと抱いて、くうくう夢の中だ。

「征くん、朝練遅刻しますよー?」
「ん…うぅ…」

声をかけながら軽く揺すったら、むずがるような声を上げてきゅうっと眉間にしわを寄せた。このつらそうな顔。この顔を見るたびに、今日ぐらいは学校休ませても…と悪いことを考えてしまう。まあどうせ母に却下されることは目に見えているのだが。

「征くん、朝です、よ!」
「ぅ、あ…さ、…?」
「そうです、朝です。ほら起きますよ」
「うー…」

ゆるり、と両目が開かれた。幼子が母親の言葉を復唱するような舌っ足らずな声音で、征くんが僕の言葉を繰り返す。まだ頭は働いていないらしい。弟の頭はすこぶる性能がいいが、起動に時間を要するところが重大な欠点だと思う。

そうこうしてるうちに、開かれた色違いの瞳がまたすうっと閉じていく。これはいけない、二度寝の前兆である。

「だめですよ。起きてくださいっ」
「や、」

征くんは再び枕に顔を埋めるといやいやと首を振り、力の入りきっていない指を三本立てて僕に主張してきた。なんだこの三は。三分か?三時間か?僕はそんなに待てません!

「起きないならおいてきますからね!」
「う、ぅ…おき、る…」

もぞもぞとシーツが動いた。だいぶ覚醒してきたらしい。むくりと起き上がった彼は、普段の威圧感なんて欠片もないようなぽやぽやした表情で目を擦っている。

「おはようございます」
「…おはよう」
「寝起きの君は本当に可愛いですねお兄ちゃんうっかり鼻血が出そうですよ」
「……?テツヤのが、数倍かわいいとおもうけど」
「君の賢い頭がばっちり起動している時は、可愛いというよりむしろかっこいいですけどね。今の征くんは僕なんかより数十倍可愛いです。むしろ撫で繰り回したい勢いで可愛いです。朝からどうしてくれるんですかこの溢れんばかりのリビドーを!」
「…長い。まとめろ」
「抱きつきたいです」
「今度はずいぶんシンプルになったな。…どうぞ?」

呆れたような顔をした弟は、それでも笑って両手を広げてくれた。…ので、遠慮なくダイブすることにする。二人してベッドにひっくり返ったら、はずみでタオルケットが床に飛んだ。

べったりくっつくとなぜか安心する、この感覚はなんなのだろう。双子特有の何かなんだろうか。ぐりぐりと頭を寄せたら、くすぐったいよと征くんが笑った。





…結局ごろごろしているうちに二人して二度寝してしまい、朝練に遅刻したのはまた別の話。




* * *
黒赤双子は毎日いちゃついてたらいいよ!






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -