「こちらエレン・イェーガー!1体抹殺しました!」
『たかが1体に何分かかってる』
「す、すみません!!今からそちらへ向かいま…はぁ!?壊れたとかふざけんな…っ!」

第1区に本部を携える調査兵団はトップをダリス・ザックレーとする対イーター機関である。人間でありながら人間を襲いその人肉を食するイーターの抹殺を主な任務としているが、中には研究所があり世間には公に出来ない実験、アルマ(ラテン語で武器)の開発などを行っているなど少なからず闇の部分もあり、目的が目的な為に黙認はされているもののその辺りは国家機密として厳重な管理がされている。

所属する者の中でも特に異彩を放っているのが特等捜査官であるリヴァイだ。イーターからも恐れられる存在の彼は人類最強という肩書きを持っている。経歴等は一切不明。あだ名は兵長。探る事は兵団ではタブーになっているとか何とか。高い実力に加え仲間思い、おまけに責任感がある所は評価できるがそれを上回る潔癖症と無愛想っぷりには脱帽の域。
その彼が指揮する通称リヴァイ班。
一等捜査官のオルオ・ボザド、グンタ・シュルツ、ペトラ・ラル。そして上等捜査官のエルド・ジンを部下に置くこの班は、精鋭きっての精鋭揃いでありイーター抹殺数も兵団の中で群を抜いている。

養成所を卒業しこの班に配属された新人エレン・イェーガーは幼少期に家族をイーターに捕食された暗い過去を持つ少年だった。一匹残らずイーターを駆逐する、それが彼が調査兵団に入った理由だ。そんなエレンは今あらゆる施設が入り込む第2区を走っていた。命令を受け小学生程のイーターを抹殺していたらいつの間にか上司達とはぐれてしまったのだ。『エレンは才能はあるけれど時々周りが見えなくなる危うさがある』幼馴染みで同期のミカサとアルミンに何度も耳タコレベルで言われた事だ。これを実践でやらかすのは度胸があるとしかいえない。無線も不幸にも壊れてしまったらしく、とにかく今は自分の足で走り上司達を探す他なかった。

「あ…いた!!兵長!」
「やぁーっと来やがった」
「死んでないだけ良いだろう」

右往左往しばらく走り続けていると見覚えのある姿が見えてくる。

「グズが、何処ほっつき歩いてやがった」
「!…すみ、ません…」

言葉が出なかった。
目の前に広がる無数のイーター達の屍。食い尽くされた人間達。ここに来るまでに聞いていた、秘密裏に人間を取引しては捕食するイーターの集団がいると。聞いてはいたが…嘘だろ?こんな数相手にたった5人で殺ったって言うのかよ。それも無傷で。これが…精鋭…。リヴァイはいつもの様に屍を蹴り飛ばすとエレンに向き直った。

「おい」
「は、はい!」
「足でまといに死なれる程胸クソ悪いモンはない。死にたくなきゃ地べた這い蹲って死に物狂いで強くなるんだな」

それだけを言い残し颯爽とこの場を去っていく。

「…」
「エレン?」
「え?」
「大丈夫?」
「…」

最強と呼ばれる男の後ろ姿に少年が感じたものは恐怖だった。


【イーター】
■人の姿をしながら人を捕食する存在。
■「人類の天敵」であり当然のごとく敵視され、警戒・抹殺の対象である。
■水分は飲める。固形物では人間の食物を食べれるが消化しにくい上に一切の栄養にはならず、結果人肉しか栄養源にならない。
■長期間摂取しないでいると薬物禁断症状に似た飢餓状態に陥り、人肉を欲して暴走する。
■人肉を食べなければ生きていけないため、人間社会に溶け込みつつ密かに人間を捕食、及び捕食を行えない者は人肉を提供できる者から買い取って食料としている。
■面が割れてしまうことは死活問題であるため、調査兵団捜査官と対決したり狩りに出る場合は基本的にマスクや面を装着する。
■帝国ウォールローゼには対イーター機関の調査兵団という組織が設置され、そこに属する捜査官が同組織で製造されるアルマを用いて日夜イーターの捜査と抹殺を行っている。
■イーターは人間と非常に似た精神を持ち、知り合った人間に対し友情や愛情を抱くこともある。逆に食料とするだけに飽き足らず、愉しみの為だけに殺してしまう者もいる。
■捕食時には瞳が赤くなり見た目は変わらないが、人間の数十倍の筋力と内臓を潰されても完全再生できる強靭な再生力を体内で発生させる。
■対人用程度の武器では致命傷を与えることはできない(行動を制限する程度)が同族か研究所にて加工、製造される対イーター用武器「アルマ」なら確実にダメージを与え倒す事も出来る。
■額が弱点である。
■調査兵団によってイーターのランクが設定されており戦闘能力、実害評価(捕食、殺害事件)を加味して決定される。

以上、イーター現在の研究結果をここに記す。

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