【夢魔】
夢魔とはキリスト教の悪魔の一つ。
淫魔ともいい、夢の中に現れて性交を行うとされる悪魔。女性型の夢魔は睡眠中の男性を襲い誘惑して精液を奪う。
身体が重い感じがした。
確か仰向けになって寝た気がする。
寝相は思った程悪くは無い。
何かが乗ってる感覚?とうとう心霊の類に好かれたのかもしれない。幸い目は開くので開けてみた。
「…レイちゃん?」
『起こしちゃった?』
「いや…ちょ、っ何してんの…!?」
楽しそうに笑う青白く光る瞳。
彼女が俺の上に跨っていた。裸で。
俺と、ナナバの間で確か寝ていた…はず。
そんなことを考えていたら下半身に違和感。弟を起こす手が止まる。待て、ちょっと待て。静止も聞かずに顔埋めてしゃぶってる。部屋の涼しさと変な快感にやけに反応してしまった。慌てて起きても彼女が顔を上げることは無い。これは、不意打ち過ぎて持つかどうか分からない。
真夜中と舌の動きと、水音。
「ん、っちょっと待とうか…?」
「ねぇレイちゃん」
「っ本当に出ちゃうから…ね…っ?」
そんな言葉、何の意味もなかった。
次何かを言おうとした時にはもう彼女の口に吐き出して、それはそれは美味しそうに飲まれたのだ。上がる息がやけに大きく聞こえる。
「…」
目が離せなかった。
クラクラする。
舌なめずりするその舌、誘惑の。
『ふふっ、お兄ちゃんの…おいしい…』
あまりに妖艶で自然と彼女に手を伸ばす。
頬に両手を添えて口付ける。
またクラクラした。
それでも収まりそうにない沸き立ってきたこの感情は性欲だ。
『もっと欲しいの』
お兄ちゃん達の精液。
こんなんじゃ足りない。
手が勝手に心が勝手に動く。
『たくさんちょうだい…?』
なんだって、ささげようとおもった。
*
『んっ、んぁ…っあ、ぁ…!』
秘部に挿し込まれる雄の象徴がグチュグチュという音。上はそれを美味しそうに舐める音。
「レイちゃんの中トロットロ過ぎてやば…」
『も、っと…んぅ…』
「そうそう、ちゃんと出来てえらいね」
「うあ、俺もうイきそ…」
『あ…っ…!』
何度達しても終わらない。
もっと、もっと。
四つん這いの身体に埋め込まれる肉棒と咥えられる肉棒。快感が支配する空間。
その言葉が呪文の様に俺達の頭に響いてくる。こっちが犯してる筈なのに、逆に見えない何かに犯されてる気分。
『っは、あ…すごい…濃くて美味しい…』
収まらずに溢れた精液が口の端から流れ出てもお構い無し。彼女はそれわ掬い取るようにして飲んでいく。目が合ったら笑った。
青白い瞳が美しい笑顔で。
そして細い身体がハンジの律動で跳ねる。
『ぁんっ!ぁっ、ゃ…っ』
「ね…っ下のお口は…?」
『欲しい…ったくさん出して…』
「んっ、じゃあ出すから…残さず飲んで」
『あっ、ぅ…んっ、言うとおりにするっ…』
「やっべ…可愛い…」
ドクドクって音が鼓膜ぶち破いて、中に出せばレイがこれまた可愛い啼き声。
まずは頭、次に手足が犯されて、腹が犯され内臓までも性欲で水浸し。最後はこころ。
『あぁっ…!…はぁ…ぁ、っふふ…』
「はぁ…っどーだった?まだ?」
そしたら彼女は自らベッドに横たわった。
頭の先から爪先まで。全身が俺達の精液に隙間なくまみれている。綺麗、美しい、他のモノが何も見えてこない。それほど、狂いそうな程に求めたくなる欲求は全く収まらない。
『もっと、いっぱい』
「そしたら壊れちゃうよ?」
『大丈夫、あっ!』
「じゃあ壊してあげるから、ね?いっぱいいっぱい可愛い声出して」
『んぁっ、んっ…わ、かった…ぁっ…!』
夜はいつまでも続きそう。
*
「…」
目が覚める。とてもくらい。
妙に生々しい夢だった。
瞬きを天井に向けて2回。
でも夢。夢だった。
生々しいおかげで身体が重い。
もちろん彼女が跨いでる事もなく。
「すげー夢だった」
しばらく上を見上げてぼんやり。
時折ナナバの寝言が聞こえる。
そういえば彼女も一緒に寝ていた。
ふと薄暗い中で隣を見る。
「…あれ?レイちゃん起きてたんだ」
「うん」
「ナナバうるさくて寝れない?」
「大丈夫だよ」
「そっか、ん?どした?」
俺の身体に伸びてくる手。
やけに艶かしい触れ方。
『ちょうだい?』
青白い瞳が楽しそうに笑っていた。