「は…ぁ…っん…!」

目をギュッと閉じたって投げ与えられる快楽が終わる訳では無い。今でも痺れるくらいに。それでも閉じていたら少しは逃げられるんじゃないかと思った。いや、絶対にいや。こんな事されてるなんて知れたら私はもう。

それなのに。

「んぁ…ぁ…っ!」
『レイ?え?何か言ったか?』
「っちが…な、んでも…ない…っ」
『悪ぃ、今ジャン達とゲーセンいてあんま聞こえなくてさ』
「そ…なの…、んっ…ごめん、ね…急にかけて…」

あらゆる機械音が携帯の向こうから聞こえてくる。これならこちらの『何をしてるか』なんて音が聞こえる筈もない。不幸中の幸いと言うべきか。

『大丈夫。俺から後で掛ける』
「エ…レン…っ!」
『ん?』

あとでかける。やだ、切らないで。
こんな状況だから切るしかないのに。
まだ声を聞いていたい。
切られる。ほら言うの、言わなきゃ。

「す、き…だいすき…」

切れる直前に聞こえた、レイが好きって。
嬉しいのに虚しい。
ごめんね。こんな私で。
涙が染み込んだ。
携帯がサイドテーブルに置かれる。

「あっ…ぁ…ゃ…!」

やっと戻って来てくれたと言わんばかりに。纏い付く快楽によって現実に引き戻された時には達していた。ヒクリと中が痙攣する。ベッドの上で足をこんなに広げさせられて。着ているドレスの肩紐はずり下がり汗ばんだ肌に髪の毛が寄り掛かっていた。挿入したままのミケが前屈みになると垂れてきた前髪が顔に当たる。

「運が良かったな」
「はぁ…っ抜いて…も、いや…っ!」
「エレンはゲーセンで楽しんでるんだと」

で?レイは今何してる?
リヴァイの人差し指が頬を滑った。
だが突然、抜かれないと思ったソレが中を滑り抜き出される。そろそろ時間だから行こう。まだ息も何も落ち着かないのにエルヴィンに抱き上げられた。ドレスが汚れてる女の子を歩かせるわけにはいかないからねと。

「それなら俺達は家で楽しむか」


*


何も分からない。
代わる代わる私の中に入ってくる性の象徴が隅々にまで快感を巡らせてくる。此処に帰ってきて、ドレスを脱がされ裸になってどれくらい経っただろう。息を吸えば喉の奥がカラカラに乾いていた。

「はぁはぁ…っ!は…ぅ…っ」
「レイは何回イったか」
「だめ…だめ…っやだ…」

ミケが吸ってる煙草の香りが鼻を掠めた。
足を無造作に動かせばシーツが絡む。
自分とは違う冷たい感触。

「ぁ…っ」

それだけなのに?ピクッと反応してしまう。
おかしいよ。だって今は何もされてないんだよ?こんな私が見られてるだけ、まさかたったそれだけの事でこんなに熱くなってるの…?震える手で支え上半身をベッドの上で起こす。

「どうした」

再び頬に触れてくるリヴァイの手。
温度差。また駆けた何か。

「や…っさわったら、だめ…!」
「ダメ?理由は」
「だめなの…っ!やめて…お願い…!」
「あぁ、今何されてもイきそうなんだろ?」
「いや!離して…っわたし…」

抱き締めてくる腕に落ちてく。
押し退けようとしたら更に強く。
もう片方の手がトロトロに溶けた秘部の中に入ってきて、そこからはすぐだった。

「あぁっ…!はぁ…っ…やぁ…!」

頭の中が真っ白になる。
お兄ちゃんもエルヴィンも私を見てる。

「そういや」
「ん…っ」

俺達に好きって言ったことねぇか。
瞳と瞳がかち合う。

「レイ、言えよほら」
「はぁ…はぁ…」
「これだけセックスしてて嫌いってことはねぇよな?」
「ぁ…あ…っ」
「好きって」

(一瞬見えたお兄ちゃんの優しい目)
ダメだよ。演技だから。嘘だから。信じたら戻って来れなくなる。抵抗するの。言わないって。

「っ言わ…ない…!」
「まぁそれでも構わないが」
「っ!?もうしないんじゃないの…っ?やめて!離して…!」

立ち上がったミケがレイを勢い良く押し倒す。簡単に受け入れて言葉とは裏腹に中が勝手に抱き締めた。激しい律動。

「いやぁっ!こんなの…っ…あっ!おかしいよ…っ!」
「なら這い蹲ってでも本家に帰れば良かっただろ」
「っあ!それ、は…っ!ん、ぁっ…!」

悲しいくらいに喘がされる。
酸素が回らない。熱い、苦しい。
視界がぼやけてきた。
耳に唇が当たる。

「レイ」

意識が途切れる前に聞こえたのは愛されてる声。

「…飛んだか」

軽く揺すっても反応はない。
ズルリと引き抜いて首の骨を鳴らす。
セックスの後の煙草は美味い。

「初めての長期戦にしては持った方じゃねぇか?」
「全然」

エルヴィンは至極楽しそうに笑っていた。

全然足りない。俺はまだレイで楽しみ切っていない。もちろん一生満足することはないし、この子は一生俺達のものだが。もっと犯してもっと可愛く啼いてる姿が見たい。行為をするのも好きだが見るのも好きだからね。

彼の手に握られた携帯。

「明日は玩具でお仕置きしてあげよう」
「随分楽しそうな顔だ」
「それはもう」

こんなに高かったドレスをやらしく汚して…そのお仕置きが今のセックスだけで終わるとでも?

「さて、いつレイは俺達を好きだと言ってくれるかな?」

明日明後日?1年後?待ち遠しい。
死ぬまで待っててあげるからね。
そしてエレンからの着信が鳴る携帯の電源を切ったのだった。

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