「と、止まってってば!」

腕を力任せに引っ張り兵舎を進む。
しばらく歩き1つの部屋の前で止まると、一応辺りに人がいないのを確認してから中に入り鍵を閉めた。此処は誰も使ってない部屋。その証拠に一切の家具等はなく掃除も簡潔にしかされていない。

「どう…したの…?」

どうして此処に来たかまるで分からないレイは不安そうに俺を見上げている。不安そうに、不安そうに通り越して不安なのはこっちだってんだ。

「お前さ、接し方違うよな」

『エレン、さっき訓練で怪我したでしょ?あんまり無理しちゃダメだって』
『見られてたのかよ…!あー…分かった』

『うーん…私も身長がベルトルトくらいあったらいいのに』
『そう?僕は今のレイがいいな』
『本当に?ありがとう』

「ライナーにだってマルコにもコニーにも、そんな目して話さねぇだろ」

俺に対しては…少し避けているようなそんな態度。目が合ってもすぐに逸らす。今だってそうだ。それが何日も続いてみろ。

「っそれはね?…ちゃんと、理由「俺達付き合ってんじゃねぇの?」
「!ゃ…っ待って…」

兵服に手を掛けて脱がしていく。
理由を聞くだけのつもりだった。
けど実際レイと面と向かってみれば話だけで終わりにしたくないという感情がグラグラ出てきたもんだから。これは止まりそうにない。いや、これくらいしたって罰が当たる筈がない。

こんな気持ちにさせたのは、レイだ。
ボタンを外してシャツを開くと噛み付くようにキスした。

「んぅっ…ねぇ…戻ら、ないと…!それに人が来たら…っ」
「誰か来たら困ることでもあんのかよ」
「そうじゃ、なくて…、っ!」

胸元に舌が這い肌に歯が喰い込んできた。
キスマークだなんて愛らしい跡ではない。次々付けられていく噛み跡。痛みに思わず目を閉じる。今度は無理矢理に押し上げられた下着から覗く胸に吸い付いた。

「ぁ、もう、っいいでしょ…?理由…言うから…」
「聞きたくねぇ」
「んっ…ジャン…っ」
「俺とするのそんなに嫌か?」

胸から口が離れ軽く舌なめずりした彼と目が合う。その隙に言ってしまえばいいのに言えなくて…ほら、また逸らした。あぁそうかよ。それなら優しくも何もしてやらない。本能が暴走しているような錯覚。レイの身体を壁に押さえ付けた。同じの履いてるから脱がすのなんて簡単。半ば強引に下に降ろせばスラリとした白い生足。

「やだ…話…っ聞いてよ…!」
「もっと足開け」
「ごめんなさい…っだめ、待って…!」
「だから」

待たねぇって言ってんだろ。
秘部に自身を突き刺した。慣らしてないせいで中途半端な濡れ具合。時折突っかかる。それでも押し込んでこじ開けていった。レイの泣く声が聞こえる。

「ぁ、あっ、いたっ…!いやぁ!そんな、っ大きいの…入らない…!」
「いつも咥えてんだろうが」
「濡れてないのに…っむり…!」
「でも身体は素直な…っ入ってんぞ」
「はぁ…あ、あぁ…っ」
「そんなこんなで全部」

まぁいつもよりは動きにくいが関係ない。
腰を掴んで律動すれば可愛く身体が跳ねた。

「ぅあ…っ!?ぁっ、あ…!」
「っとりあえず…終わったら話聞いてやるにしても…エロ」
「っ…ゃ…だ、め!そこは…っ当たっちゃう…!」
「ここ、レイが大好きな場所な…?」
「ぁ、やぁ…っ!」

軽く前のめりになれば簡単に密着する身体。今日はこっちがしたいようにすると決めた。だから痛がってようが泣こうが構わないと、そう本能が動いてしまっている。体制が崩れそうになるレイを抱きかかえて何度も打ち付けた。

「っこうやって…ずっと当ててると、どうなんだっけ?」
「ぁんっ…!それ…される、と…いっ…ちゃう…」
「っは…イっちまえ…中に出すぞ…」
「ん、んっ…ふ、ぁ…!」

精液が中で広がる。何回やってもこの行為だけは他のものには代えがたい。大きく息を吐いて落ち着かせ…るわけがない。射精したおかげで中は一段と滑りが良くなっている。まだまだ。

「レイ、おい」
「はぁ…っん…いや…!だから…やめ、て…っ!」
「さっきからうっせぇな。こっちがどんな気持ちだったか知らね「ジャンがかっこよかったから…っ!」
「……は?」

何を言ってるんだという視線に気付いたのか泣きながら話を続けた。

「付き合う…っ前は…あんなに、ふざけてたのに…っ付き合ったら…違うんだもん…!」
「…」

もちろん104期生のみんなとはしゃいでるのは今でも変わらないよ?けれどこんなに…かっこいいところがたくさんあったから…どうしていいか分からなくて…。同期から恋人になったら目を合わすことすら…恥ずかしくなっちゃったの…。

「…バ…」

慌てて壁から手を離させ両腕に閉じ込めた。

「バカお前…!何でもっと、こんな事になる前に言わねぇんだよ!嫌われたのかと…!」
「い、言わせてくれなかったでしょ…!その前に嫌うわけない…」

バカじゃねぇの。バカは俺だ。

「ジャン?」
「……ごめんな」

生々しく残るセックスの後含めて全部を噛み締める。レイのシャツのボタンを閉めながら重い口を開いた。

「…嫉妬した」
「嫉妬…?」
「…俺にも…」
「…うん」
「アイツ等と楽しそうに話す笑顔…向けてくれねぇかなって思って」

でもなかなか来ない、から、
その先は言葉を紡ぐのが恥ずかしかったし申し訳なかったので強く抱き締めた。細い腕が背中に回ってくる。

「ううん、ちゃんと伝えなかったのがいけなかったの。つらい思いさせてごめんね」
「レイ」

肩に顔を埋めたままじゃないと話せない。

「…アイツ等ばっかと話すな」
「うん」
「あとアレだ、時間がある時とかない時でもいいから…構ってください」
「うん。好きだよ」
「俺は世界で…1番、好き。ふざけんなキャラじゃねぇのに言っちまった」
「ふふっ」

嫌われてなくて本当に良かった。

「じゃあ…仲直りのキスして?」
「ん」

可愛いふざけんな幾らでもしてやるってのこの野郎。

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