「ナナ?」

別に何にも。
今までなら互いに脱いでセックス。それだけでそれなりに楽しめるから興奮した筈なんだけど。俺達の頭の中はあの子の事でいっぱいで。だから現在進行形でハンジが連絡してる。会いたいから。来てって。
まさに行為寸前まで来ているのに。
したいとすら思わなかった。
上半身にすら触れてくる手もなんか、気持ち悪いって感想しか。

「萎えた。帰って」
「は?ちょ…何それどういう意味?」
「そのままの、ってー…何すんだよ。引っ掻くなっての馬鹿力」
「最ッ低!」

はいはい。聞き流して煙草に火を点ける。煙を吐きながらテーブルを指差した。

「金欲しいならハンちゃんの財布アレね。足りないなら俺のからもご自由に」
「二度と会わないから!」

玄関先でドアの閉まる音が聞こえた。
だけじゃないこちらに近付いてくる会話。

「ったく、ドアくらい静かに…、!」
「お…お邪魔します」

ハンジと一緒にリビングに入って来た彼女。もう先程までの事なんて欠片も頭に残っちゃいない。反射的に抱き締めた。

「…レイちゃん。会いたかった」
「ごめんね急に来てだなんて」
「大丈夫ですよ。わっ」
「今日は俺の膝の上」

2人で住んでいるというマンション。
内装は…20代のお洒落なお兄さん的な。
レイを抱き上げ膝の上に乗せたハンジ。ナナバは横に座り手や髪の毛に触れている。
可愛くて甘くて、離したくない。

「レイちゃんは俺達のこと、好き?」
「え?」
「ねぇ好きって言って?」
「あ、あの…っ」

言って。

「…す、き…」
「ありがとう。でもその言葉、もっと聞きたくなっちゃった」
「っ…」
「照れてる?」
「…2人が…っかっこいい、から…」

あーもう。どうしてそういうことを。

「そう言われちゃうとさぁ」

抱き締める力が強くなる。
離れないで。行かないで、何処にも。
何なら此処にずっといてくれたらいいのに。
この子にどんどん落ちていく。

「帰したくなくなっちゃう」


*


好きって言われるだけで高鳴る。
全身がもっと欲しいと蠢く。
汗ばんだ身体を舐めるだけでも、髪に、指先に触れるだけでもいいから繋がってたい。

「はぁ…はぁ…っ」

脱ぎ散らかされた制服。
トロトロになってる。
あの女と比べるまでもないけど。
好みの体型とかそんな括りにこの子は収まらない。いい歳こいた大人が、ねぇ?18歳の女の子にここまで翻弄されてるって。笑えるおかしな話なのに、とっても素敵だと俺達は思う。

「すっげ気持ちいい…レイちゃんは…?」
「きもちい…ん…っでも…」
「でも?まだイってもらうからね」
「はぁ…んぅ…」

ナナバがとろけたレイの唇にキスをしていく。こっちは息遣いにすら犯されてる感覚。イき過ぎた身体ってちょっと触るだけでもピクピクして可愛い。好きだよって言ったら小さく頷いてくれた。

「背面座位なんてどう?」
「あっ、ま…って…!まだ…だめ…っ…ぁ…」

グチュグチュと中にハンジのモノが入ってくる。その過程にすら達しそうになった。繋がった部分が見られてる。恥ずかしがってる姿が余計熱くさせた。律動が気持ち良過ぎて自然と仰け反ってしまう。

「あぁ…ん…ぁ…っ、やぁ…っ!」
「見てるだけでも興奮する」
「っ…俺もあんま余裕ないんだけど…おっぱい触っていい…?」
「んっ、さわっ…て…?」

細く骨張った手が胸を揉み始める。
いろんな女とセックスしてきたがレイは別だった。色気があるのに従順で汚れてなくて。今度は息する暇なく正面からキス。攻められに攻められて喘ぎが溢れる。

「レイ、好きだよ…?」
「わ、た…しも…っすき…んあっ…!」
「もっと」
「は、っあぁ…んっ…!す、き…っ」
「やーべ…イきそ…っ」

俺達はレイに依存してる。
この子がいなきゃダメだ。
この子にしか興奮しない。
この子にしか勃たない。
この子にしか出したくない。

「あっ…!ぁ、っはぁ…すごい…っでてる…」
「っだろー…?はぁ…レイのこと、好きだから…」
「ぁ…おにい、ちゃん…」
「俺のもまた欲しいんだ?」
「ん、んっ…」

いいよいくらでも。何回でもやろうね。
時間無制限のセックス。
ずっと溺れていたい。

この子がいれば何もいらない。
この子が望むなら全部あげる。

「レイ」

俺達の何を犠牲にしたっていい。
だからずっと好きと言って。
愛がなくてもいいんだ。形だけでもレイの口から紡がれるってのが大事だから。

「好き」

(依存。なんて美しい底無し)
もうね、それさえ言ってくれるなら。
死んだっていいよ。

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