「…朝…」

外が明るい。いつの間に寝ちまった。
いやその前に。俺の部屋、こんないいにおいしたか?それに両腕に何かの感覚。柔らかい。抱き枕なんてなかっ、

「!!?!?!」

お、おおおおお!?
一気に眠気ついでに目ん玉まで吹っ飛びそうになった。は、え、何の働きによって!?
なんで俺の腕の中でレイちゃ、さんが気持ち良さそうに寝てんだ。どうしてこうなった。冷や汗がぶわっとそこら中から溢れ出す。
殺される!殺される!!

「やべぇ…やべぇよやべぇ…!」

キルシュタインは見事朝勃ち(生理現象)してたが足に力を入れまくった結果鎮めることが出来た。が!問題はまだ目の前に。レイさんが抱き着いて寝ている。ので…胸が大いに当たっているのだ。とても柔らかい、じゃねぇよバカ。何アークデーモンの話し方真似してんだ。ド勘違いを防ぐ為にもこれは起こすしかない。彼女を軽く揺すってみた。ちなみに服はちゃんと着ていたので酔った勢いで襲った的な事実はなし。そこは一安心。

「レイ、さん…?あのー…朝勃、違ぇ!朝でございますよー…?」

…お、起きない…だと…?

「…んぅ…」
「ちょっ…!?」

それよか更に抱き着いてきた。
つまりもっと胸が当たってる状況。きっと漫画の主人公なら鼻血を吹き出してるに違いない。いや今も出そうな程にはヤバイ。だからいいにおいし過ぎだっての。

「起き、起きてくださーい…?」
「…うぅ…ん…」
「おいおい嘘だろ…」

すうすうと静かな寝息が聞こえる。
しばらく声を掛けたりしてみたがまるで効果無しだったので、それならばと腕の中にいる彼女をそっと観察してみた。
細くてサラサラしてて柔らかい。
なのに胸がデカい。素晴らしい。
改めて思う。レイさんは俺の理想を体現したような女子だった。
再度朝勃ちしそうな勢い。
以上全て健全な感想。下心は、ない。

「…ん…あれ…?」
「!」

視線を落とせば眠そうな目でこちらを見てくるレイさんと目が合う。

「ひ、姫様!ご安心ください!決して手は出し「ふふ、…ジャンくん…あったかい…」
「オィィィ!!」

また寝た…。
ま、まぁ…か…可愛いから許すけどな。

「…あー…!」

それにしてもおかしいだろ。なんで寝れんだ。俺だって男だぞ!?もしかしてこれは男と思われてない?同性とでも思われてんのか?襲われでもしたらどうすんだよ。そしたら物凄く瞳孔開いたアークデーモンが壁ブチ破って来るだろうから心配は無用だろうけど。無防備ですやすや寝て…本当に何だってんだ。こっちまで眠くなるわ。

「…」

ふとレイさんの事を抱き締めてみる。
そしたらまた抱き着いてきた。

「…ったく…」

かもしれないじゃなくて、好きだと思う。
少しだけ意味もなく嬉しくて寂しくなったのは墓場まで持っていく秘密。エレン達にも言わない。そのまま抱き締めてまた眠りに落ちた。ひどく眠かったから。

「……人の気も知らねぇで」


*


誰かに呼ばれた気がする。
んだよ…まだ寝てんのに起こすな。
次に来たのは圧迫感?

「っぐ!?ん゛ー!!!」
「ミカサ!息止まっちゃうってば!」
「これくらいしないと起きない」
「ん゛がーっ!!?」

ミカサ…ミカサ!?一瞬で目が覚める。
息が上手く出来ない。俺の顔面真上にクッションが押し付けに押し付けられているから。
やっとクッションを押し退ければレイさん…を抱き締めたラスボスが俺を睨んでいた。どうしたら瞳孔そこまで開けんだって状態で。

「寝覚めは?」
「ひ…ひひ、非常にお日柄も良「今日は雨」

怖い、死んだ。

「レイ、本当に何もされてないの?」
「うん」
「あとで病院に行こう」
「病原菌扱い!?」
「何か?」
「すみませんでした病原菌は黙ります」

自然と高速で起き上がり床に移動すると土下座を上回る土下座をしていた。
身体がガシャガシャ震える。
震え過ぎて残像が見える程。

「どう消えたい?」
「せめてセーブをしてから消えた「人生はオートセーブ」
「仰る通りです申し訳ありませんでした」
「大丈夫だから、ね?んっ…!」
「!?」

どう見ても魔王からの一方的な…って女同士でキスするモンなのか!?何故か…目が離せない。

「はぁ…ぁ、っミカサ…ふぁ…っんぅ…」

唇が離れトロリとした表情になったレイさんを優しく抱き締めるアークデーモン。俺がいるんですが完全に無視されている。この際無視してくれた方が助かる。なんでってあの顔見たら勃たない男いないだろ。

「可愛い」
「ジャンくんいるんだよ…っ!?」
「いたからした」
「も、もう…!」
「こっちに来て」
「ぐぇっ…!」

首根っこ引っ掴まれ部屋の端へ無理矢理引き摺られていく。人間じゃないだけあってさすが馬鹿力。

「まさか」
「ふ、ふっざけんな勃つわけね「まさかしか言ってないのに。そう…勃ったの」
「…あ、」

や っ ち ま っ た 。

「いいい今の無し「なんて事は出来ない」

人生はオートセーブだから。
肩に冷たい手が置かれた。
どうやら俺の享年は17らしい。
前半のいい感じ返せよ神様!!!

「ギャアァアアァアァァ!!!」

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