「あ゛ー…やべぇ飲み過ぎた」
「結局ここで寝たのか、ハンジは?」
「風呂入ってる」
ナナバはミケから渡された水を一気に飲み干す。昨日は珍しく予定がなかったエルヴィンも入れて5人で夜通し宅飲みしていた。夜に帰ってきたレイにも無理矢理に飲ませたが、途中酒にやられて早々に寝てしまったんだっけ。2人はまだ寝ているらしい。
「で、思ったんだけど」
壁の時計を指差す。
「レイちゃん学校あるよね?」
いつも8時には家を出てるみたいだが。
時刻は8時10分。
「7時くらいかな?俺その時間に起きてからずっとゴロゴロしてたんだけど」
部屋から出てくることはなかったと言う。
かと言って年頃の女の子の部屋にズカズカ入るのも気が引けるからさ。でもこれじゃ遅刻しちゃわない?それを聞いたミケはしばし考えた後に早速部屋をノックした。後ろには当然ナナバも付いてきている。
だが反応はない。
「レイ」
声どころか物音すらしない。
「入るぞ」
それすら無反応。
ワンクッション置いたのでドアを開けると制服も鞄も置かれた状態。そんなに酒を飲んだとは思えないが…そのままベッドに近付くと本人はちゃんとそこにいた。
ただし幼女の姿で。
「……嘘だろオイ」
「…ぁ…」
モゾモゾと動きうっすらと目を開く。
ミケとナナバに気付いたレイは寝ぼけ眼でふにゃりと笑った。
「おにいちゃん…おはよう…」
*
「な、何がどうしてこうなった」
ごもっとな言葉をエルヴィンが口にする。その顔は驚愕一色。とりあえず着ていたベビードールでさえも大きかったので応急処置としてバスタオルを身体に巻き…もちろん休みの連絡は学校に入れておいた。確認するに自分が元18歳だった記憶はないみたいだ。
8歳程の幼女。
顔は幼くなったレイそのもの。
艶めいた髪の毛はサラサラ。
手足はもちろん細い。肌も白い。
歳の割にあった方の胸は僅かに膨らんでいる程度。けれど何処か色っぽく見えるのは相変わらずだった。
「にしても可愛いなぁ…!ほっぺなんてぷにぷにしてる」
「持ち帰りたい!はいレイちゃん!ハンジお兄ちゃんとピースしようかー?」
「ぴーす!」
可愛いと連呼し連写で写メを撮るナナバ。
抱き着いてほっぺを触るハンジ。
この兄弟はこうなってしまった理由なんてどうでもいい、むしろ貴重過ぎるんだから楽しもうと先程からはしゃいでいる。
「エルヴィンおじさん」
「な、なんだい?」
「だいじょうぶ?」
「大丈夫…ではないかな」
救急車?警察?はたまた軍隊?どれに通報した方がいいんだ?この中で1番の年長者だからか『可愛い』よりも本気で『どうしたら元に戻るのか』を冷静にあれこれ考えてしまった。今も驚愕の事実に苛まれている。
「世の中不思議なこともあるもんだ」
観察するでもなく触るでもなく興味があるわけでもなく、それだけをポツリと言い残し眼鏡を掛けソファでパソコンを始めたミケ。だから異常なまでの順応性。するとレイはタタッと隣に移動して画面を覗き込んだ。
「お仕事?」
「あぁ」
「英語だらけでたいへん?」
「慣れれば大変じゃない」
「がんばってね」
「ありがとう」
頭をポンポン。
この2人はいつもと変わらなかった。
「?」
突然リヴァイが目線に合わせしゃがむ。
首を傾げても何も喋らない。上から下までじっくり見ていたと思いきや、ふいに立ち上がり小さな身体を抱き上げ自分の部屋へ向かった。足でドアを閉めるとベッドに横たわらせ、顎を掴めば簡単に上を向く。
「んっ…!」
口付けた唇はマシュマロみたいに柔らかい。
舌を入れ口内を犯していれば簡単に息が上がり初々しい頬が染まっていく。その最中にバスタオルを開いた。
「ふっ、は…っ!はぁ…っおにいちゃん…?」
「外でこうなってたら下衆共に今頃犯されてたな」
「ぅ…んん…っくすぐったい…」
揉める大きさでもないので軽く乳首を舐めてみたが快感を感じるまでにはなっていない。指先で転がしてもみたが同じ。
なら下は?2本入るわけがないので1本を秘部辺りに這わしてみると…ほんの少しだけ中に入った。ピクリとレイの身体が動く。
「ん…っ?ふぁ、なに…?」
「気持ちいいか?」
「わかんない…っこわいよ…」
セックス=気持ちいいもの。という方程式はまだ出来上が…る筈もないか。真下から聞こえてきた声に目をやると泣いていた。どうやら今の行為は俺が怒ったからしていると勘違いしたらしい。
「っいゃ…おにいちゃ…ごめんなさい…っ…ふ、ぇ…おこっちゃ…やだ…!」
「…」
ベッドに横たわったレイが泣いている。
細い手足を全てベッドに曝け出し涙目でこちらを見てくる姿はやはり色っぽくて凝視してしまう。
外でこうならなくて良かったと改めて心底思った。
*
「レイ、こっちを向いてくれるかな?」
「む?」
「あぁ可愛い!」
「可愛いー!」
「天使!」
あれから数時間後、いずれ元に戻ればいいと呑気な結論に達した彼等。しかし外に出したらどんな不審者に攫われるか分かったものではない、それならば昼食は家で食べようということで宅配ピザを頼んだ。あのエルヴィンまでもがピザを食べるレイの姿を可愛いと連呼しながらビデオに収めている。
「美味しいね」
「そうだな」
名誉ある膝の上に乗せられる権利を獲得したのはミケ。頭を撫でている。背が高いからとの理由らしいが決め方が何とも子供独特。
「欲しい物ねぇのか?」
「お洋服!」
「部屋に入り切らないくらい買ってやる」
リヴァイはその可愛さに更にやられていた。
「後でお兄ちゃん達とデート行かない?」
「これで行くの?」
「まっさか!レイちゃんに似合うお洋服を俺が選んであ「すっ込んでろクソメガネ」
「それは私の役目だ」
「いや俺だね!3人共センス無さそう」
「テメェ等全員黙れよ」
俺が選ぶ、俺が買う。
終わりそうもない口喧嘩。
「ふふっ」
「ん?」
「仲良し。わたしね?みんな大好き!」
ちゅ。ミケの頬に唇が当たる。
それを羨ましがられ余計に騒がしくなるのは数秒後。そしてレイが元の姿に戻るのは数時間後。原因は何だったのか?それは、