「何か飲み物を持ってくる、待ってて」

部屋を出て下のキッチンへ向かう。
私はミカサ・アッカーマン。
17歳、高校2年生。
命よりも大切なのはレイ。
その次に大切なのはこの赤いマフラー。

『なんでいつもマフラー巻いてんだよ』

小学生の時に確か…焼肉のタレに聞かれて有無を言わず投げ飛ばした記憶がある。その頃から既にアークデーモンと男子からは恐れられていた。
レイとの出会いは10年前。
私が7歳だった時。


*


冬休み真っ只中。世間はクリスマスを迎える準備で何処も大忙しだった。両親にねだって買ってもらった大きなクリスマスツリーがリビングでピカピカ光っている。サンタが来るまであと10日。待ち遠しかった。

「今日誰か引っ越してきた?」
「ローゼンハイムさんよ。さっき挨拶に娘さんのレイちゃんも一緒に来られたの」
「そうなんだ」

同い年だと母親が教えてくれた。それなら冬休み明けの学校で会うかもしれない。その会話も程々にテーブルにカラーペンと画用紙を広げる。

「手紙書くの?」
「うん」
「サンタさん喜んでくれるね」
「お兄ちゃんは?」
「出掛けたみたいだけどもうすぐ…あ、帰ってきた」

玄関のドアが開く音が向こうから聞こえた。
私には兄がいる。名前はリヴァイ。
10歳離れているので17歳の高校2年生。
背は高くないのに何故か強いから『へいちょう』なんて呼ばれているらしい。

「お帰り!夕飯は?」
「食ってきた。お前何してんだ」
「サンタに手紙を書いてる」
「は?」

兄の次の言葉を聞いた私は画用紙とカラーペンを払い除け、クリスマスツリーをなぎ倒し、ソファにあったクッションを力いっぱい兄に投げ付け部屋に逃げ込んだ。

「っ…!」

怒りとショックで涙が止まらない。

(アレの正体親だぞ)

ベッドに倒れ込んで枕に顔を押し付けしばらく泣いていた。元々年齢差からそれ程仲良くはなかったが今回の件で完全な溝が出来上がる。途中母親が来てくれたけどご飯もいらないもう寝ると行って追い出した。

「じんぐるべーる♪すっずがーなるー♪」

そんな私は気付かない内に泣き疲れたのか寝てしまったと思う。瞬きしたらぼんやりとしたから。

「…?」

誰かの歌声?ベッドから降りて声がする小さな部屋の窓を見てみると…向かいの家も同じように小さな窓があり、その部屋で女の子が歌っていた。窓と窓の間は数メートル。互いの声が聞こえるくらい。すると私に気付いたのか女の子も窓の方に来る。
その子がレイだった。

「こんばんは!」
「…こんばんは」
「わたしレイ・ローゼンハイム!今日引っ越してきたんだ、よろしくね」
「……ミカサ・アッカーマン」
「元気ないの?もうすぐサンタさん来「サンタなんかいない」

また涙が出てきそう。
それでもキッパリと言い放つ。

「どうして?」
「それは、」

彼女は事実を知らない。『正体は親だから』と言ってしまうのはダメだと小学生ながらに感じたので、何とか機転を利かせ『少なくとも自分の元へは来ない』と言い切る。
するとレイはそれなら…と腕を組んで考えた後、唐突に何色が好き?と聞いてきた。

「好きな…色?」
「うん!」
「…赤」
「わかった!ミカサちゃんは学校どこ?」
「シガンシナ。あなたは?」
「私はエルミハだよ。だから中学校も同じ」

エルミハは私立。
この辺りではなく電車で数駅の場所にある。
でも友達が学校にしかいないからミカサちゃんと家が隣で良かった!これから遊んだりこうやってお喋りしたりしようね!

「……うん」

お日様みたいな笑顔。
そんな彼女と友達になれた事がすごく嬉しかった。


*


「ふふっ、懐かしいね」

これはその10年前、サンタさんが来ないなら私がミカサちゃんのサンタさん!クリスマスプレゼントだよ!と言ってクリスマス当日にくれたもの。赤いマフラー。あの日から肌身離さず付けている。

「ありがとう」
「どういたしまして」

思い出話が終わると同時にレイのYシャツのボタンを外していく。バッと躊躇することなく開けば今日のブラジャーはパステルグラデーション。やっぱり大きくなった、と思う。そのまま胸に埋めると顔全体に柔らかい感触。そしていいにおい。

「くすぐったい…あ、ちょっと」

ゴソゴソと手を入れてホックを外す。
キスしてみた。レイの恥ずかしそうな表情を覗き込みながら胸を触る。

「っはぁ…ミカサ…」
「気持ちいい?」
「…ん…っ!待っ…」
「待たない」

くちゅくちゅと乳首に音を立てて吸い付けば可愛い反応。手持ち無沙汰になってるもう片方の手を口の中に入れてみた。指と指で舌を挟めば唾液が絡んでくる。

「ふぁ、ぁ、ぅ…んっ…」
「大丈夫?」
「っは…はぁ…っ下は…だめ、汚いから…」
「あなたに汚い所なんてない」
「で、でも…ゃっ」

スカートの中に手を入れ下着を捲り、秘部にゆっくりと指を入れる。それだけでも何か感じるものがあるようで私の身体に抱き着いてきた。

「濡れてるの分かる?」
「ぁんっ、指動くから…わ、わかんない…っ」
「レイ、私を見て」

刺激が強い所に擦れると私の身体を弱い力で掴んでくるのが可愛い。そっと目が合う。キスして舌を捩じ込んだ。ぎこちなく交わってくる。

「ん、ぅ…んん…っ」
「もうそろそろ?」
「っも…はやく、しないで…っ…!」
「これでいいの」
「ぁ、あっ…!」

指がきつく締め付けられた。それだけでぐったりしてしまった彼女を抱き寄せる。荒い息遣いにサラサラの髪の毛、肌蹴た制服。何もかもが愛おしい。

「…レイ…」

前と変わらず愛おしい筈なのに…少し遠くに行ってしまった気になるのはどうしてだろう。
(まだ、彼女の側に私はいれるだろうか)

「今日は泊まって欲しい」
「うん。ミカサ…?どうかしたの?」

至って元気なのに心が何処か浮つく。
焼肉のタレのせいだ。
明日ウォール・ローゼに行ってストレス解消をしてこよう。そうすれば多少は晴れやかになると思う。そうしよう。

翌日の放課後ウォール・ローゼ。顔面蒼白で投げ飛ばされてるジャンくんがいたとかいないとか。

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