「あ、あの…っ私…本当にそういうつもりで言ったわけじゃ…」
家に遊びに来ていた彼等とDVDを鑑賞していた時のこと。内容は至って王道なラブロマンスアニメの実写化。それを見終えたレイはポツリと呟いた。
(お姫様…羨ましいな)
「だから今日1日レイちゃんはお姫様」
その呟きを聞いていた2人は、ならなっちゃえという事で彼女にお洒落を施し連れ出したのである。カボチャの馬車じゃなくて車なのが申し訳ないけど。ハンジは笑っている。
そ、その前にこれ…普通の車じゃない。
「リムジン初めてだった?」
走ってる音なんてまるでしない。ふかふかのソファに周りはパステルピンクを基調とした色合いの可愛らしいインテリア。ケーキスタンドには様々なケーキとアンティーク風なティーセット。現実じゃない世界に飛び込んだ感覚。
「は…初めてです…」
「緊張しなくていいのに。紅茶飲む?」
ナナバがポットから紅茶を淹れレイに手渡す。スーツを着た男2人に挟まれてそわそわと落ち着かなかったが、一口飲むと身体の緊張が少し解れていった。ポンと軽く肩を叩かれ反対を向けばヒラヒラと差し出されるフォーク。
「はい、あーん」
ケーキは好きなので小さく口を開いて食べてみる。美味しい…思わず感想を声に出してしまった。甘い?と聞かれたから素直に甘いと答える。
ちゅ
「レイちゃん可愛いくて甘い」
「ハ、ハンジさん…っ」
「照れちゃってどした?」
「だって、急にキスするから…」
「あれ?俺のせいなの?」
からかうように見てくるハンジ。ぷいとそっぽを向く。緊張は抜けてきたけれど違う何かが…。今度はナナバがこっちのケーキはどう?食べさせてくれた。自分の頬を触ってみたが見事に熱い。
「うめー!さすがローゼンハイム家御用達」
「えっと…何を?」
「ん?髪触ってる」
一掬いした髪にキスを落とす。
頬を撫でてくる手が骨張ってるのに細く長くて男の人って感じがしなかった。
「綺麗だね」
「っ…え…?ん…っ」
ナナバに身体を押されれば簡単に後ろへと倒れるがハンジが支えてくれた。じゃなくて…っ!2人が更に近くてどうしたらいいのか分からない。こちらの混乱もどこ吹く風で首筋や胸元に触れてくる手。また1つキスされる。そうだなぁ、って企んでる顔なのにすごくかっこよくて。
「レイちゃんのこと…食べちゃいたい」
そんな中で欲しい物とか行きたい場所ある?聞かれても答えられる筈がなかった。
*
ふわりとした香り。
広々としたバスルーム。
あれから何かされることはなく気付けば夜になっていた。最終目的地だという此処は高校生の自分でさえ知ってる有名なホテル。そこで夕食をご馳走してもらった。フルコースはローゼンハイムの人間である以上多方面との付き合いがあるので何度か食べた事はあるが、今日1日終始彼等のエスコートのお陰がせいかでドキドキしっぱなしだった。
「…えっと…」
湯船から上がりバスローブを羽織る。タオルで髪の水気を吸い取りながら出れば部屋の電気は点いていない。それでも宝箱を開けたみたいに夜景が光ってるからぼんやり明るかった。2人は上半身裸で煙草を吸いながらベッドの上でシャンパンを飲んでいた。先に入ってもらっていたが…まだ髪が濡れている。その姿にすらドギマギさせられた。
「おいで?」
その手招きに引き寄せられるようにベッドに座った。あは、まだ緊張してるの?コクリと頷くことしか出来ない。
「気持ちいいことしたら緊張抜けるかな?」
「ぅ、っふ…ぁ…っはぁ…」
ハンジからされる優しいキス。舌が入ってきてもそれは変わらない。するとナナバの手によって着ていたバスローブがはらりと落ち、後ろから胸を触られる。
「ぁ、っ…!や…っ、んぅっ」
「レイちゃんだーめ、俺とのキスに集中しろって」
「ふぁ、ん…ぁ…」
しばらくして唇が離れる。
「そのまま後ろ向いてレイちゃん、次は俺とキスしよっか。おっぱいも触ってあげる」
「っで…も…ぁっ…!指、はいってるの…っ」
「ハンジは下気持ちよくしてくれてるだけ。大丈夫、痛くしないから」
「ん、っん…ぅ、ゃぁ…」
唇の端から僅かに唾液が垂れていく。やんわりと胸を揉まれながらも時折乳首を刺激されて身体がピクッと動く。それだけならいいのに、秘部に入り込んだ指が気持ちいい所を擦り上げてくる。前も後ろも攻められて素直に嬌声が漏れた。
「あっ…!んっ、もう…っいき、そ…」
「イっていいよ、お姫様…?」
ナナバと目が合う。綺麗な色…恥ずかしいのに逸らせない。ぼんやりとしたまま見つめていればもう限界だった。
「っや…!いま…ぁ、あぁっ…!」
「クリ気持ち良かったんだ?ここね」
「はぁっ、んぁ…!だめ…っ」
「さてと、じゃあ終わりにしよっか」
「はぁ…はぁ…っ…寝るの…?」
終わり…?
まだ疼いた身体が冷めない。
抱き締めてくる腕、寄せられる唇。
本当は…2人共分かってるくせに。
「レイちゃんはどうしたいんだろう」
エッチの続きしたい?
「…ん…っ欲しい…」
ゆっくり倒される身体。
無造作に投げ出した手を握ってくれた。
2人が王子様みたいにかっこよくて。
もっと気持ち良くなりたい。
広げられていく両足。
魔法の言葉を言ってごらん。
「…お兄ちゃんたちの…ちょうだい…っ?」
奥深く入ってくるそれが私を離さない。
完全に捕らえられた。
羞恥も何も無い。
全身が快感に震える。
「ぁ、ぁっ!んぁっ…!」
「お兄ちゃん達にいっぱい声聞かせて…?」
「そこ、っもっと…当てて…いいから…っ」
「きゅうきゅう締め付けてくる…っやべぇなこれ…」
隙間なく攻められまたすぐ達しそう。でも痛くない。ハンジの胸を触ってくる手だって、ナナバのおかしくなっちゃいそうな律動だって全てが甘くて熱い。もう少しで一緒にイけるから。それが不思議と待ち遠しくて我慢した。
「あぁぁ…っ、だ、め…ぇ…も、あっ…!」
「っ!…はぁ…可愛い…」
「…ん、っ…おにいちゃん…」
頭を撫でてくれた。
あったかくて満たされる。
「レイ…よく頑張ったね」
*
ゆらゆらと口元から紫煙が吐き出される。寒くないだろうか。部屋の温度を少し上げた。生ぬるくなった残りのシャンパンを飲み干し、お姫様のように眠る少女の寝顔を見つめた。
「アレは?」
「ちゃんとあるよ」
ハンジは鞄から小さな箱を取り出すと枕元に置く。中身は小さなガラスの靴。
じゃあ寝よっか。
2人はレイの両脇に寝転がった。
今日1日だけじゃない。起きてもずっとお姫様でいられるように。
俺達からのプレゼント。
「「
A good dream a princess」」