「なんだあのザマは」
「見るからにわなわな震えてますね」
「エレンのヤツ朝からアレか」
「今にも巨人化しそうだ」
「壁外調査前は禁止って言われたから」
「まぁレイ分隊長がアレのせいで腰痛いで戦えないじゃアレだもんな」
「オルオ…さっきからアレアレうるさい」
「だからってダイレクトに話せる単語と話題でもねぇだろ?」
「それはそうだけどうるさい」
「理不尽」

リヴァイ兵長達は俺に聞こえないよう小声で話してるつもりなんだろうが。

思いっきり聞こえてる。

私だってしたいけど…兵士である以上一番大事な事を忘れたらダメ。その代わり出来る時は、ね?どんな時でもエレンが好きなのは変わらないからそれだけは絶対に忘れないで。

好きだから触れたい。
けれど身体に負担が掛かって壁外調査に支障をきたしたら元も子もない。せめて抱き締めるだけでもと思って彼女の部屋にいったら分隊長は用があって今はいないよと補佐官の方が教えてくれた。最近そんな空振りがすこぶる多い。

「あぁあぁ…レイさん…!」

壁外調査前、それも1週間。
我慢。我慢。しかもあと4日も我慢。
禁断症状まで出そうだ。
見掛けただけでも俺のアレがアレになりそうな禁断症状が。単純ではない、全身全霊で好きってことだ。

「若いな」
「聞こえてますから!!」

それなのに兵長を始め好き勝手後ろでベラベラベラベラ…!畜生早くこの仕事終わらせて次こそレイさんに会いに行かなきゃ!

「本当に若い」
「まっしぐらってやつだね」
「アレが毎回がっつくんだから分隊長も大変だよな」
「チッ、これだからガキは」
「イき急ぎ野郎」
「ぶっ」

「ちょっと黙っててくださいよォ!!!」

No.18 時には我慢

- ナノ -