「いつも…こう?」
「毎週こうだ」

まだお前ら入ってないのか。パソコン?宿題?知るか。グダグダ言ってねぇでさっさと行ってこい。あ?文句あんならこっから1時間の銭湯にでも仲良く歩いてくんだな。

週2回、とてつもない時間を掛けて潔癖症のリヴァイは風呂掃除をする。その際途中で『入りたい』という意見は聞き入れてもらえないので『お前ら』のレイとミケは押し込まれる形で風呂に入っていた。2人で入っても余裕な程に大きいジャグジーバス。入浴剤はラベンダー、かな?すごくいい香り。
彼より早く出るつもりが、何でだろう…タイミングが見つけられないので浸かったまま。相変わらず向かいのミケとは目が合わない。

「女の人と入るの…慣れてる感じ」
「お前といくつ違うと思う?」
「そうなんだけど」

そうなんだけど、こう…女以前に子供と一緒にお風呂入ってるくらいにしか思われてない気が…また変なこと考えて、また変なこと聞きそうになってる。

「…興奮したりしないの?」
「レイに?」
「う、ん」
「しない」
「即答しなくても…」

彼が手招きすると手のひらからお湯が落ちていき湯船に弾ける。やだ、行かない。すると一瞬で身体が浮いていつの間にか彼と向かい合わせで座らせられていた。

「!…えっと…これは…」
「来なかったからこうした」
「近過ぎ…っ」
「興奮しないから拗ねてるのか?」

そ、そうじゃないってば。でも、ほんの少しだけ思ったから上手く誤魔化せない。ミケは頬杖を付いてレイのどぎまぎしてる姿を見つめている。大人の女はこれくらいじゃ動揺すらしないんだが。ポツリと零したらしっかりと聞こえていたらしい。それよりいつもの眠気が。

「どうしてそう…!いつもからかう事ばっかり言う…あ、れ…?」

寝てる。

「…」

さすがに納得がいかなかったので手で掬ったお湯をパシャッと顔にかけた。ゆっくりと閉じられていた瞳が開かれる。

「お兄ちゃんおはよう」
「…おはよう」
「寝ないでよ…」
「なら寝た詫びに何かしようか」

気持ちいいことでも。
素肌に触れる手。身体が動かない。青い瞳がレイを覗き込んだ時には息が止まっていた。舌が入り貪られ息付く暇もない。

「ん…っ!ん、ぅあ…はぁ…っ」

やっとのことで離れた唇。浴室の熱さからかキスだけでもぼんやりとしてしまう。身体に巻いたタオルが取られていくのを手で遮るもやんわりと払われた。やがて何も纏っていない姿、タオルは湯船へと追いやられゆらゆらと浮いている。

「っ…離して…」
「昨日何処に行ってたんだ?」
「え…?あっ!いや…っ」

乳首に歯が当たり甘く噛まれ舌先で舐められる。ダメ。ダメだって。感じたりしたらいけない。

「っぁ、あ、やめて…噛んだらだめ…っ」
「舐めるのも?で、答えは?」
「それ、っも…だめ…ぁ…!」

突然の下半身の違和感に腰が浮いた。何も言われずに指が秘部に刺し込まれゆっくりと掻き回される。お願い、もうやめて。そう言えば言う程にミケの与えてくる愛撫が強さを増した。だから何で言葉と裏腹に感じて濡れていくの…?このままじゃ本当に。

「んっ、んぁ…っ…ぁ、あぁ…やめて…っ」
「電源切ってまで何してた」
「いや…っ!ぁ…っはぁ…はぁ…っえ…?」

この様子だと…対面はまだ出来そうにも無いな。独り言を漏らし無理矢理に後ろを向かすと浴室の壁に手を付かせた。宛がわれたのはぬるりと秘部へ這う生き物のような。これから何をされるかくらい。

「レイ、興奮してないのは嘘。実はしてた」
「やだ…いや…!挿れないで…いやっ!」
「ちなみに質問に答えたくないならいい。まぁ大方、」

『誰か』とセックスでもしてたんだろ。

「あぁっ…!あっ…抜いて、いやぁっ…!」
「ほら、しっかり立ってないと溺れるぞ?」

肉棒が抜かれ再び中を犯してくる度にパシャパシャとお湯が波みたいにうねって外に跳ねていく。いっその事手を離して溺れてしまいたいのに。高められていく快感に逆らいたくても出てくるのは閉鎖的な空間に響き渡る喘ぎ声。嘘…こんなの嘘…私じゃない…だって私には、エレンが。

「んっ!っ…ぁ…わたし…い、ま…!」

ゾクッとするのに解放される感覚。
ビクビクと奥底から震える。
認めたくない事実に涙が出た。

「気持ち良さそうにイったな。でも俺はまだイってない」
「や、ぁっ!ぁんっ!も、やめて…っお願い…お兄ちゃん…っ!」

その割に締め付けてくる素直な身体。
自分ので感じ切っているレイの後ろ姿。細い腕が無造作に壁を撫でている。エルヴィンかリヴァイにでも撮ってもらえば良かったか。泣いてるのか声が掠れている。反応からするに立ちバックはやった事がなかったらしい。まぁ何事も経験。

「そろそろ…」
「ま、た…んぁっ、また…いっちゃう…いや…いきたくない…っ!あぁ…っ!」
「っ…」
「…はぁ…はぁ…ぁ、っいゃ…!」

ズルリと大きな肉棒が引き抜かれたと同時に秘部からあたたかい精液が垂れ落ちていった。全身の力が抜けてズルズルと倒れ込みそうになる。抱き締められ溢れる涙が舌で掬い取られて。

「そんなに泣いたら明日腫れる」
「だ、って…わたし…っ」
「『彼氏』がいるのに?」
「っ…!?」
「適当に言ってみたら図星か」

少なくとも本家に帰る事はもうない。
自分の意思で此処に帰ってきたんだから。
不安に染まる瞳にキスを1つ落とした。

「お帰り、レイ」


*


「もう眼鏡掛けてパソコンかよ」

拍子抜けするミケの切り替えの速さ。
お前さっきまでセックスしてたんだろうが。

「セックスは普通に好きだがそれはそれ、これはこれ」
「レイは?」
「寝た。どうやら彼氏がいるらしい」
「ほう?」
「その上でヤったからな、精神的にきてると思うぞ」
「それでいい」

そうした方がもっと面白くなる。
さて、前撮ったヤツ見返して1発抜くか。
最低?悪いな、兄弟揃ってよく言われる。

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