「…じゃあ行くぞ」

深呼吸。大きく息を吸って吐いて。
レイの両肩に添えた手に力が入る。

「あの…ジャン…?」
「な、何だよ」
「肩ちょっと痛い…」
「あ!?あ、あぁ悪ぃ!」

そんなに力入れてたのか。まるで気付かなかった。反射的にパッと手を離す。
それからは…いや…こういうのは男からするのが当たり前なのは十分わかってる。なのに何だこのザマは。彼女に初キス。楽勝だと思っていたらとんでもない一大イベントになってしまった。

「…ふふっ」
「…今度は何だよ」
「だってあたふたして可愛いんだもん」
「っお前なぁ…!こっちはどんだけ…」
「うん、私も…恥ずかしいんだけどね。あ、言ったら余計に恥ずかしくなっちゃった」
「…」

俺の兵服引っ張って上目遣いに照れ笑いしてるレイの方が何万倍も可愛い。漠然と感じた。ここでやらなきゃ男が廃る。

「だから今度でも「レイ」
「ん、」

不思議と自然にキスが出来て。
柔らかくて一瞬で体温が急上昇。

「…」
「…」
「…えっと、ね…?」
「…おう」
「今、キスしてくれたでしょ?」
「したな」
「その時のジャンがね?すごく…かっこよかった」
「……おう」
「ありがとう、大好き」

ちゅ

今度はレイが俺の頬にキス。
ふざけんな何だこれ。
すげぇ幸せ。

No.24 キス

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