帰りのホームルームが終わり教科書とノートを鞄に入れて一息つけば思い出す昨日の事。あの時…私は自分から快感を求めた。それはおかしい…こと?おかしいよ。本当に?本能が欲しがったんじゃないの?
クラスのみんなは…私にこんな事があったなんて一切知らないんだよね。その事実が余計に羞恥を掻き立てられるようで。

「レイ、私は委員会があるから帰り1人だけど大丈夫?」
「大丈夫だよ、ありがとう」
「どういたしまして。また明日」

友人のミカサを見送る。
送り出してからはクラスの人も徐々に減っていって今は自分だけ。携帯を見てもあの人達からの通知はない。何も…連絡くれないんだ…。ほら、まただ。
(俺達なしじゃいられない身体になる)
ほら、本家に帰るなら今だよ?そしたらもうあんな事されないよ?何を迷ってるの?迷ってなんか。なら早く逃げようよ。どうしてあの人達のこと考えちゃうの?忘れたいんでしょ?嫌なんでしょ?嫌だけど、

「だから…わからないんだってば…っ」
「レイ…?」
「っ!」

ハッと教室の入口を見ればクラスメートのエレンが立っていた。

「お、おいどうした?なんで泣いてんだよ」
「…っ違う、何でもないの…」

どう見たって何でもないようには見えなかった。止めようと目を擦っても逆らうかの様に涙が溢れている。とりあえず忘れ物を取らなければと自分の机に行き目的の物を鞄に入れた。隣の席でもあるレイは急に驚いたよねと泣き笑いで俺に話し掛けてきた。

「彼氏と別れたとか?」
「…ううん、そもそもいないし」

あの人達は彼氏じゃ…ない、よね?

「…そっか、そういやいつもならミカサと帰ってるよな」
「今日は1人」

お前ん家こっから結構あるだろって聞いたら、今は学校からかなり近い場所にある親戚の家に住んでいるらしい。それもあのタワーマンションに。家賃いくらすると思ってんだよ。さすが資産家一族。

「実は俺ん家、駅近くのマンション」
「ほんと?何か嬉しいかも」

ドキッとした。レイの笑顔に。
初めて見る顔ではないのに2人きりだから余計に緊張してさっきから心拍数がバクバクとおかしい。そりゃそうもなる。

だって目の前にいるのは好きなヤツだから。

するとエレンこそジャン達と帰ってるでしょ?待ってるんじゃない?長々話してごめんねと謝られたが偶然にもアイツ等には先に帰ってもらってたのでこちらも1人だった。しかしレイは今家に帰る気分じゃないらしい。なんだそりゃ家出少女かよ。

「それなら家…寄ってくか?」
「え…?」
「いや、金欠でどっか行っても出せねぇし。奢ってもらうのもアレだし」
「…行ってもいい?」

するとエレンからぎこちなく出された手。
少し緊張しながらも繋ぐ。
守られているような、そんな気がした。


*


男子高校生代表。
エレンの部屋はまさにそれだった。
家にお邪魔して飲み物やら何やらをキッチンから持ってきた彼の代わりにドアを開ける。

「足場がねぇ…!」

慌てて散乱した服、雑誌、CDその他諸々を部屋の端に追いやる。数分して何とかベッドに座る事が出来た。

「男しか来ねぇから…ごめんな汚くて」

良かったらと持ってきたケーキ。皿忘れたから箱からダイレクトに食ってくれとフォークを手渡した。やっぱりレイも甘い物が好きなのかキラキラした目で美味そうに食ってる。未だに俺の心臓は鳴り止まない。

彼氏はいないって。
なら好きと言っても、許されるだろうか。
何気ない会話をしていたのに突然無言になってしまう。

「レイは彼氏…いないんだよな」
「うん。エレンは?」
「いたら家に呼ばねぇって」
「…どんな子が好、」

あれ?今、エレンから…キスされた?

「あ、あー…その…お前が好き」

ぶわっと顔を赤くしたエレンに寄り掛かる。
私も、好きだよ。
自分から唇を重ねればさっきよりも深い。未熟だと思うのに満たされる。ブレザーを脱ぎシャツとスカート。

「っあ…我慢出来るか分かんね…」
「…いいよ?しよう…?」

どちらでもなくキスしながらエレンがレイのシャツに手を掛ける。ボタンを外して開き、手を背中に回し下着のホックを外すとその隙間から手を入れて胸を直に触る。指先で乳首を摘み首筋に顔を寄せたらいいにおいがした。

「ぁ…っ、ぅ…」
「すげぇ柔らかい…」
「んっ!は、ぁ…あぁ…っん…」

下着をずり上げ硬さを持った乳首を舐めてから吸い付く。上から艶めかしい吐息が降ってきて更に興奮した。しばらくしてから口を離しレイの額に自分の額を当てる。互いの息がぶつかり合ってそれだけで溶けそうだった。

「…っエレン…?」
「ん…?」

〜♪

その時鞄に入っていた携帯が鳴る。
これは着信。指を絡めた片手をそのままに携帯を取ればリヴァイから。

「…」

だが出る事なく電源ごと切った。
邪魔しないで。
これは私の、幸せな時間なんだから。
世界を引き戻すようにキス。

「これで終わりじゃいや…」

だってこんなに濡れちゃった…。
スカートを脱がし下着も脱がす。レイの綺麗で無垢な裸を目にして熱を持たないわけがない。ゆっくりとベッドに押し倒す。一言告げてから中に指を入れると蜜がしっとりと濡らしてきた。

「…挿れていいか?」
「…ん…」

1つ1つが幸せと感じるキス。
舌を絡ませていると下半身が一瞬重くなり熱いモノが入ってくる。無理矢理じゃない。2人が望んでしていること。

「入っ、た…」
「エレンの…思ってたより大きい…」
「…そりゃ、どうも」
「ふふっ」

ふいに抱き締められる力が強くなり律動が始まった。耳さえ犯してくるようにクチュッという卑猥な音が鳴り、動く度ベッドのシーツがずり落ちていく。

「あ、ぁ…!やっ…あぁ…っ」
「中…っ締め付けすげぇ…」
「ゃ…おく…もっ、と…欲しい…ぁっ…!」
「奥な…?頼んでくるの可愛い…」

この律動の間に名前を呼び合い口付け合って、どれ程好きと言ったか。何も覚えてないくらいに今俺はレイとのセックスに溺れていた。視界も思考もとろける。そろそろ息も上がりイきそうになってきた。

「ぁんっ!あっ…も、だめ…エレン…っ」
「っはぁ…レイ…イく顔見せろ…」
「ん、ぁ…あっ、ぁ…!」
「っ…あ…!」

弾ける、とはまさにこれ。
全身が歓喜して震えた。
瞳が潤んでいる彼女の額にキス。
何もかもが反則だった。

「馬鹿お前…エロ過ぎ…」


そして何処かで誰かは呟く。
あぁそういや、
彼氏がいるのか聞き忘れたと。
これまた愉しそうに。

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