「男にヘラヘラ笑いやがって」

執事のリヴァイは仕事、所作、全て完璧でありながらまるで執事らしくない。仕えているお姫様のレイに敬語を使わないのは当たり前。時には上から目線に物を言ってのける人間だった。そんな彼でもローゼンハイム家当主には頭が上がらないらしい。

「い、家のことだってあるんだからそれくらい仕方ないじゃない」
「社交界は二度と行くな」
「そんなの無理に決まってるでしょ?」

ベッドに横たわると社交界での疲れがシーツに染み込んでいく。身体が沈んでいきそう。まだ慣れていないからか気疲れもした。

「意中のヤツでもいたか」
「いないってば…、んっ」
「レイ、お前は誰のものだ?」

キスされ覗き込んでくる黒。
変な色気にドキッとする。
私の心臓が高鳴るのは、この瞳だけ。

「っ…リヴァイの…」

人差し指が肌の上を滑るもいつもより不機嫌そうな手付き。コイツは自分の魅力がまるで分かっちゃいない、勢い良くベッドに押し倒すと長い髪が反動でふわっと広がり香りが飛んできた。このシャンプーは香りが好きだからと俺が選んだもの。レイの唇を舐めるだけで返ってきたのはその先を期待する目付き。口付けながら服を柔らかく引くだけで自分から脱いでいく。

「悪いがもう挿れる」
「え…っ?」
「お前は俺のものだ、どうしようと自由だろ?」

それにヘラヘラしやがった罰だ。別に痛め付ける気はない。嫉妬しただけなのと早く一つになりたいだけ。すっかり硬くなったモノを押し進めるようにして挿れていく。

「っん…!ぁ、う…ちょっと…き、つい…っ」
「でも濡れてきた」
「そ、れは…っ言わなくていいの…!」
「実際にすげぇぬるぬるしてる」
「っ…知らないもん…」

言葉で反論するのは恥ずかしいのか両手で顔を隠したレイの手を退ける。挿れきると自分の目に焼き付けた。赤らむ頬であるとか、白い肌、若干上がった息。ゆっくり動き始めると反応する素直な身体。

「あっ…ぁ…んぅ…っ」
「まだ少ししか動いてなくてそれかよ」
「だって、あっ、リヴァイからされるのは…全部きもちい、っから…」
「言うじゃねぇか」

無意識の一言が余計興奮させてくる。
が、そこまで余裕を装える程器用ではない。目の前に一番愛しい存在がこんなエロい姿で何か言ってきたらそりゃ腰打ち付けるのだって早くなる。

もう今日は他の場所も触ってやらねぇ。キスもイくまでしない。ずっと感じてるレイの顔だけを見てたい。

「ぁ、あ…っ!いま、当たった…とこ…っ」
「前にもしてやったろ…?お前が好きな所」
「ん、そこ…っもっと…」
「ここな?仰せのままに」

パンッ!弾ける音が部屋に散乱していく。
いつもは様々なことを冷静に対処出来るってのにレイが絡むとこうだ、本能が先に動かされてしまう。これもコイツの魅力の1つなんだろう。頼んでもねぇのにイイ所勝手に締め付けてきやがって。おかげで長いこと我慢出来た試しがない。

「っおい…気持ちいいか?」
「す、ごく…ぁ、んぁっ…!そろそろ…っだめ、かも…っ」
「中ぶちまけても…っ文句言うんじゃねぇぞ…」
「ぁんっ、わ、かった…っ!ぁ、あぁっ…!」
「っ!」


*


「…ふわふわする…」

精液と汗が綺麗さっぱりに拭き取られたレイはバスローブを羽織りベッドに座っていた。足をプラプラと投げ出すクセは昔から変わらない。紅茶が飲みたいと言われたので側のテーブルで手際良く淹れていく。セックス直後であっても執事なんでな。

「飲みやすい温度にしといた」
「ありがとう」

俺のもの。本当に愛しいと思う。

「ねぇ、私は…リヴァイのものでしょ?」
「あぁ」
「それならリヴァイは?」
「決まってんだろ」

俺はお前のものだ。
互いが互いをこんなに好きなんだから。

「…それなら、」

ずっと私の側にいて。離れないで。
そして、私をずっと好きでいて。

「そんな簡単な事でいいのか」

言われなくても死ぬまで側にいて死ぬまで好きでいてやる。
レイの前に跪くと手の甲にキスした。

「Yes, My Majesty」



もちろん、貴女の御命令とあらば喜んで。

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