ミケ分隊長は背が高い。
レイは背が低い。

「いくつでしたっけ?」
「歳か?」
「し、身長のことですよ!」
「知ってる。196だ」

196…私とちょうど40cmも違う。
感情の変化があまりないように見えるだけで結構コロコロと変わる人だ。たまに書類片手に居眠りもしてたり。この前は寝たままガツン!と机に額からダイブしててナナバさんと一緒に笑ったっけ。ちょっと可愛いと思ったのは恋人の私だけの秘密。

「レイは小さいな」
「…むう」
「全部が小さいとは言ってない。むしろ胸は大き「あわわわ!!やめてー!急に変な事言わないでくださいよっ!」
「事実だろう」
「真っ昼間からセクハラです!」

あ、悪戯な笑み。こうやってミケさんはたまに私をからかう。でも好きな人だから怒りつつもいつも許しちゃうんだよね。

「あ、そうだ。背中合わせになってくれませんか?」
「背中合わせ?」
「はい!ミケさんと背比べしたいんです」
「しなくても一目瞭…わかったすればいいんだろ睨むんじゃない、こうか?」
「ありがとうございます!動かないでくださいね」

お礼を言ってからミケさんの背中に自分の背中をくっ付けた。何だか嬉しい。そのまま時間は1秒、2秒と経っていく。

「…で?レイ」
「はい?」
「俺達の背を誰が比べるんだ?」

第3者がいないと意味が無いと思うんだが。

「あ」
「…ふっ」
「笑いましたね!?」
「笑った」
「背中合わせでも分かります」
「さすが恋人だな」
「……私のこと好き?」
「世界で一番」

私の恋人は背が高い。
俺の恋人は背が低い。
これがちょうどいい。

No.13 背比べ

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