出掛けるから支度しろ。
起きたら部屋のベッド。昨日は確かミケの膝の上で寝てしまったので彼に謝ろうとしたら既に外出していた。エルヴィンも居らずリビングにいたのはリヴァイだけ。そこで冒頭の言葉を言われるも服がない。別に制服でいいと言われ着替えたのに、いざ家を出て着いた先は如何にもお金持ちしか行かなそうな高級デパートだった。

「本当に制服で良いの…?」

学生など1人もいない。
レイは肩身の狭い思いをしながら前を歩く従兄弟に付いていくのが精一杯だった。

「なら帰って素っ裸にパーカー着てから出直してもいいぞ」
「それはやだけど…」

エレベーターに乗り2階。
降りてフロアを進んだ先にあった店はどう見ても高級感漂うランジェリーショップ。少し改装したのか、一言漏らしリヴァイはレイの背中をトンと押し中へと入る。服も下着も長年住んでいた本家に全てあるから持って来るのに。その必要はない。言い切られてしまった。それにしても値段が高い。

「ガキの割に小さくはなかったな」
「!や、やめてよ…っ」

恥ずかしい。その前にどうしてランジェリーショップなのか。レイはすぐ側で商品を目で探している彼に尋ねた。

「服は?」
「必要ない。これでいいだろ」

指差したのは刺繍やレースで可愛らしく装飾されているベビードール。ブラジャーとショーツでいるより断然服っぽくはあるものの下着である事に変わりはない。
その時耳元で。

「そもそもあちこち出掛けられるとでも思ってんのか?」
「っ…!」
「まぁそうしたいなら好きにすりゃいい。俺達にそれが知れたらどうなるか知らねぇけどな」

また、私に蛇が絡み付いてきた。


*


あと数時間で用事を終えたミケが迎えに来る。話を聞くにリヴァイは公共機関が嫌いらしく身内と自分の運転以外受け付けないらしい。ベビードールを大量に買ってもらうも、複雑な気持ちでデパートを出たレイはやはり彼の後を付いていく事しか出来なかった。

「疲れたろ」

今いる繁華街からタワーマンションまで最低30分は歩く。行きは散歩がてらな意識だったので良かったが言われてみれば…少し疲れたかも。

「適当に飯でも食うか」
「うん。…あれ?」

雨?ポツポツといった音から一瞬で砂が撒かれていく様な大きな音に。凄い雨量。辺りの人達が一斉に屋根がある場所、地下鉄、建物へと走り出す。

「チッ…!こっち来い」
「ちょ、いきなり…っ走らないで…!」

雨のせいで景色が白ける。でもすぐ近くにあった筈だ。どうせこの雨、数時間待たなきゃいけないなら楽できる場所の方がいい。やっと目的の場所に着くとレイの手を掴んだまま進んでいく。
2人してびしょ濡れになったが袋はさすが店員、夕方から雨が降るらしいのでという気遣いをしてくれたから無傷だった。メニューパネルで部屋を選びそのままエレベーターに乗り込んだ。

「…ここって…」
「ラブホテル、略してラブホ」
「し、知ってるってば」
「ほらさっさと降りろ、ずぶ濡れのまま迎え待つのは御免だ」

廊下を歩いてドアを開けると、キングサイズのベッドを中心に黒を基調としたモノトーンな部屋。ラブホテルっぽくない。それがレイの感想だった。リヴァイは袋を適当に置き早速服を脱ぎながらバスルームへ行き湯を出し始める。

「一緒に入るか?」
「あ、あの…」

タオルが投げ渡される。

「そんなに恥ずかしいなら巻いて入れ。ずっとそれだと風邪引くだろうが」

ちなみに制服透けまくってんぞ。
そう言って一足先に行ってしまった。
確かに風邪は引きたくない。恐る恐る制服を脱ぎタオルを巻いたレイはバスルームへ入った。入浴剤の甘い香りがする。
気恥ずかしいのが収まるわけなくタオルが落ちないようしっかりと巻き直してから髪の毛を洗った。シャワーを止め両手で髪の水気を軽く切って立ち上がる。

「突っ立ってどうした」
「別に…なんでもない…」

片足ずつ入ってゆっくりと湯船に浸かっていけば身体が温かさに包み込まれいく事にホッとした。

「ここ…よく来たりするの?」
「この前も来た」
「彼女?」
「まぁな、もう別れたが」
「…そっか」

チクッとした。でも、そうだよ。
私は従姉妹であって彼女でも何でもないんだからお兄ちゃんの自由なのにね。

「俺はもう出る」

長風呂してのぼせんなよ、ポンと頭に手を置き出ていった。しばらく浸かった後に栓を抜いてバスルームの中で身体を拭いて出る。するとリヴァイは既にバスローブを着てベッドに座り煙草を吸っていた。
ミネラルウォーターを渡されたので1口飲みベッドに横になる。

「連絡来るまで寝とけ」
「なんで?ゃ、そういう意味じゃ…」
「…へぇ?セックスしたいって顔付きだな」
「ちが、やっ…!待っていきなりは…!」

組み敷かれバスローブを開かれればすぐに裸体。レイの両足は押し上げられ問答無用で秘部の入口には熱を持った肉棒が宛がわれていた。

「当たり」
「やめ、て…いや、お願い…いやぁっ!」
「さすがにキツイが…悪くねぇ」
「い、た…っい…!はぁっ…っいや…やだ…!」

ぎちぎちとこじ開けながら入ってくる。熱くて痛いの中に、ほんの僅かに気持ちいいって思ってる部分があって…ねぇ…どうしちゃったんだろう。無理矢理に入り切ったそれが奥の奥まで快感を与えるように蠢く。されるがままだった。刺し込まれる度にレイの身体は快感に浸され素直な喘ぎが漏れた。

「その顔と声たまんねぇな」
「ん、あぁ…っ!思、って…ない、くせに…っ」
「あ?俺が他の女抱いてる想像でもしたか」
「ぁ、ぁんっ!ち、が…してない…っ」

熱い言葉、激しい律動。

「レイが欲しそうにしてるからもっと奥攻めてやる」
「そんな、強く…っしたら…だめっ!お兄ちゃん…っいっちゃ、う…っ!」
「安心しろ、お前が一番だから」
「あっ、…んぁっ…!」

痛みからの快感の、また一歩その先。
ドクドクと注がれる精液。
確実に何かが変わってきていた。


*


静かに走る車の中。すっかり止んだ雨が夜の光に反射してキラキラと光っていた。

「部屋広かったか?」
「お前もよく行ってたじゃねぇか」
「俺が使ってたのは駅の向こう側だ」
「あぁ。それなりに広かった」

リヴァイは自分の選んだ下着を身に付けたレイの頬を撫でる。小さな寝息。

「帰るって意気込んでたのが嘘みてぇだな」

ミラー越しにミケと目が合った。

「まだ葛藤してると思うがセックスしてたら忘れるだろ」

慌てずゆっくり、時間はたっぷりある。
身体に教えこませればこっちのもの。泣いて嫌がってるのに感じて喘いで嗚呼可愛い。
そうさ。だって本来人間は、気持ちいい事が大好きなんだから。

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