マカロン、ミルフィーユ、シュトーレン、ガレット、シュークリーム、フィナンシェ、フルーツタルトにティラミス、モンブラン、エクレア、チーズケーキ、ショートケーキその他上げればキリがない。

「よく飽きずに…」

ケーキスタンドにはたくさんの洋菓子。それを紅茶と共に食べるのがこの甘党レイ・ローゼンハイムの日課だった。
『姫様が呼んでらっしゃいましたよ』
伝達を受け部屋へと向かいドアを開ければ甘い香り。本人は早速ベッドの上で食べ始めている。この行為を夜遅くの風呂上がりにするんだから理解が出来ない。晩酌と同じ事と言っていたがそういうものなんだろうか。

「甘いもの食べると幸せな気持ちになれるんだもん、座って?」

俺達は主従の関係にあるのでベッドのふちに座る。すると差し出されたフォークで小さなシュークリームみたいな洋菓子を貰った。サントノーレといって飴をかけたシュー生地を積み上げてクリームをデコレーションしたものらしい。

「どう?」
「美味いが甘い」
「お菓子だもの。毎日幸せだなぁ。じゃあ次はコレあげる、ショートケーキ」

こうしてレイの開催する小さな茶会に毎日呼ばれては餌付けされている。元々甘いものが好きな方ではないので紅茶だけくれと頼んだが『一緒に食べるから楽しいんじゃない』の一言でぶった斬られてしまった。
その前にくれるにしてはフォークに対してサイズが大き過ぎだと思う。あとどう見てもクリームだけだと思う。落ちる気がする。いや落ちるだろ。

「特別に大きいのあげ、あ」

ほれ言わんこっちゃない。
俺の口に辿り着く前にショートケー…クリームは見事レイのバスローブに落ちた。

「もー!折角お風呂入ったのに…中にも入ってベタベタする…」
「自業自得だ。着替えを持ってくる」
「…ねぇ」

立ち上がった瞬間執事服を掴まれた。
遠慮がちに見上げてくる視線。

「ミケが…舐めてよ…」
「…は?」
「っいいの命令!」

引っ張られて再度ベッドに座らせられる。
執事であっても俺は男であるわけで。しかし命令であるなら逆らう事は許されない。試しに背もたれに身体を押さえ付けてみたら強張った。

「流れ的に舐めるだけで終わると思うか?」
「思わ、ないけど…私とじゃ…いや…?」
「嫌なら断ってる」
「っ…くすぐったい…」

寄り掛かり座っている状態のレイのバスローブを肌蹴させると、案の定胸辺りにクリームがベッタリとついていた。舌で舐め上げると人工的な甘さが口に広がる。

「だいぶ甘い」
「っそ、れは…クリームだから、あっ…!…っそこは…ぁ…」

乳首を甘噛みしたらピクリと震え足がシーツを無造作に掻き回した。舐め取り吸い付くだけでも初々しい反応。喘ぎながらも時折髪を撫でてくる指が心地良かった。

「これはくすぐったいじゃなくて?」
「んっ、気持ちいい…」
「素直でいい。…さて…これくらいか、あらかた綺麗になった」
「…もっと…っ気持ち良くして…命令じゃない、私が…そうして欲しいの…」
「本当にいいのか?」

小さく頷くのを確認してから秘部にゆっくりと指を入れていく。息を吐くレイの表情を見る限り苦しそうにはしていないが、動かす度にクチュクチュと愛液が空気に触れる音に顔を赤らめていた。

「ゃ、あぁ…っ、音…恥ずかしいよ…」
「これだけ濡れてるから仕方ない」
「ぁぅ…いじわる…っあ!待っ、て…それ以上はだめ…いきそ…う…っ」
「イきたいな「いやっ…!っいくなら…ミケと一緒がいい…」

そこまで拒絶の言葉を言われたら止めるしかない。と思ったらとんでもない返事を返された。言った本人も恥ずかしそうにしてるが言われた俺も少し恥ずかしくなった。

「…お前…そんなの何処で覚えてきたんだ、一昨日の社交界か?」
「っちがう、本心…だもん…」
「痛かったらすぐに言うこと、いいな?」
「…ん…」

身体を寝かせ足を開かせる。これだけ濡れてれば潤滑油として問題ない。服から取り出した自身を宛てがうと中へ押し込んでいくとレイの腕が俺の身体に触れてくる。不安がらせない様に片方の手で頭を撫でた。

「はぁ…んっ…あれ?大きいのに…っ痛く、ない…」
「そうか…今の気分は?」
「…しあわせ…あっ…!ぁんっ、急に動くの…だ、め…っ!」
「こうしないと気持ち良くさせられないからな」

感じている姿を目の前で見ているとめちゃくちゃにしたいという気持ちが生まれそうになるが、痛がる顔は見たくない。理性を効かせながら律動を速めると与えられる快感が強まったらしい。中はあたたかくて、それでいて欲しい時に締め付けてくる。

「はっ…これは…」
「ぁ、っあぁ…!ん、っきもちい…」
「っ締めるタイミングもいつ覚えたんだか…」
「っミケ…!わ、たし…っも…いっちゃ、うかも…」
「大丈夫だ…一緒だから」
「んっ、は…あぁっ!」

奥へと突き立てる。
一層強く締め付けられて溢れ出す精。
達する直前に抱き締めた。汗ばむ肌と肌。でもやっぱり漂うのはセックスに混じって甘い香り。

「っ…気持ちよかった…」
「あぁ、ご馳走様」
「ミケは甘いもの…好き?」

初めてのキスは唇に。



「レイほど甘ければ」

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