手渡したアイスクリーム。
昼休みの時から食べたい食べたいと言っていたので放課後、女子の間で今流行ってる店に寄る事になった。アイス専門店らしいがコンビニやスーパーで売ってるヤツと何が違うのか俺には全く分からない。

「ありがとう、このアールグレイとチーズケーキの味食べたかったんだぁ」
「何でアイスなのに紅茶とケーキなんだよ」
「とにかく美味しいから食べてみて!」

はいはい分かりました食べます。
レイに言われるがまま1口、野郎達で食べる安いヤツより美味いのは確かだった。

「おー…なるほどな」
「美味しいでしょ?ジャンは何にしたの?」
「バニラとチョコ」

そんなレベル高い名前恥ずかしくてお前の分だけで限界だ『今日悪人面の人がパッションフルーツ頼んできてさぁ!』なんてレジ締めの時話題になってみろ、死ねる。すると制服をクイッと引かれた。

「どうした?」
「1口ちょうだい」
「あ、」

スプーン貰うの忘れてた。だが今貰いに行っても店員が見えないくらいに混んでるし、再び女子だらけの戦地に特攻する程の度胸はない。まぁ彼女だからそこら辺はいいとして。そのままレイにアイスを差し出した。

「ほれ」
「いただきまーす!」
「…」

いや…そりゃ、舐めるよな。
アイス舐め取る舌がバニラのせいで白い。
付かないように髪を耳にかき上げながら。

「ふふっ、美味しい」

上目遣いで…笑いやがった。
あ、これは。やべぇ。

「ば、馬ッッ鹿!!レイお前…っ!」
「え?どうしたの?」
「あ!?何でもねぇから!ダメだ、もうダメ!チョコはまた今度食わせてやるから自分の食え!溶ける!な!?」
「わ、わかった!…あれ?」
「!?」

ピトッと額に当てられる小さな手。

「ちょ、ジャンすごく熱いよ…?風邪…?」

お前のせいだよ馬鹿野郎ォォォ…!!

No.10 体温

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