恋というものに縁はなかった。
する事自体、無意味な気がしたからだ。

「調査兵団にいると恋愛事に無関心にならない?」

まぁ憲兵、駐屯、何処にいようとなくなるけど。レイは俺と同じ幹部。恋愛として好きって人にすら出会わないもん。そりゃ自然と興味薄れていくよね。

「そんな暇あるのは貴族共だけだ」
「確かに。恋愛か…」
「禁止事項でもねぇからしたいならすればいいだろ」
「リヴァイは好きな人出来たらさらっと『好き』って言いそう」
「かもな」

恋というものに縁はなかった。
する事自体、無意味な気がしたからだ。
今までは。いつの日からか、俺はレイの事が好きだった。こんな態度で返してはいるが。それは初めて経験する事だからどうしていいか分からないので虚勢を張ってるだけ。

「いるの?好きな人」
「いる」
「うそ!?リヴァイにもついに春が!」
「うるせぇな」
「誰だれ!?」
「それは、…」
「え?ごめん聞こえなかった」

言ったつもりなのに声が出ていなかったらしい。正確には恥ずかしくて言い淀んでしまった。さらっと言えるどころか…何たる失態。恋ってこんなに難しいのか。掃討作戦より難しいときたもんだ。
レイ、と名前を言うだけでもこんなに。
いや、こうなったら。

「もう1回教えて?」
「よく聞いとけ」

お前だ気付けクソ野郎。

No.1 初恋の相手

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