「お風呂…広い…」

部屋1つ分はあるであろう浴室。
全体がモノトーンに纏めれたデザイン。ボディソープもシャンプーもいい香りで男所帯というのをまるで感じない。レイはジャグジーバスに浸かり思い返していた。同時にまた込み上げてくる羞恥。

濡れた手で顔を覆う。親戚という立場の人にそういう行為をされたということ。夢じゃない。全部起こったことは紛れもない現実。でもエルヴィンのその後の接し方は至っていつもと同じで…余計に混乱してしまう。

「…どうしたら…」

浴槽から上がりレイは薄いタオルを身に付け風呂から上がる。洗面所ですら広くて高級ホテルと何ら変わりない。浴室、洗面所、2つのドアが開いたのは同時だった。

「!その、えっと…」

黙ってレイを見つめるリヴァイに慌てて謝る。しかし彼は一歩また一歩と距離を縮めてきた。気付けば手を伸ばさなくても触れられる距離まで。それでも歩みは止まらず自然と後退りすれば風呂場へと再び入ってしまった。

「お、お兄ちゃん…?」

やがて背後が冷たい鏡に当たる。
鋭い視線に恐怖を感じてしまいズルズルと座り込んでしまった。それに合わせてしゃがむとリヴァイは手で身体を撫でながら耳、唇、首筋へと口付け始める。

「な、に…っ?」
「エルヴィンにイかされたんだってな」
「っ…!…やめて…」
「気持ち良さそうにしてたって聞いたが」
「ちが、う…っ、あ…っ!」

嫌だと身体を押すも簡単に振り払われる。それでも暴れていると手がシャワーのボタンに触れてしまいリヴァイの頭上へと降り掛かった。彼は黙ったまま再度ボタンを押しシャワーを止める。

「ご、ごめん…なさい…」
「…チッ、風呂はさっき入ったってのに」

髪の毛からポタポタと水滴が落ち、着ていたシャツがぐっしょりと濡れていて。おもむろに脱いだそれを投げ捨てるとレイの秘部へ指がゆるりと入り込んできた。
…なんで?痛く、ない?

「っ…!?やだ、抜いて…抜いて…っ!」
「痛いなら抜く。まぁ痛くねぇだろ」

こんだけ濡れてたら。
1本は2本へと増え遠慮なしに音を立てて動く。擦られてる間にも彼の舌はあらゆる場所を舐めてきて、違う。息なんか、上がってない。感じてなんかいない。嫌な事をされているの。リヴァイの目には喘ぐレイの姿がしっかりと映っている。

「ぁ、っだから…ぁ、あっ、いや…っ!」
「ダメって言いながらイったんだよな?」
「んぁっ…」
「今はここまでって言ったの覚えてるか?だからこれからイイ事してやる」

指が抜かれると誘導されるように開かれた両足。秘部の入口に人肌の何かが当たればレイの必死な静止を聞く事無く入ってくる。重力に押し潰されそうな感覚。

「…だめ、お願い…もうやめて…っ」

抵抗。何も意味がなかった。
涙が一つ私の瞳から流れて。
嗚呼、全てこじ開けられた気がした。

「っあ!やぁっ…ぁっ!な、んで…っ!」
「締め付けは…まぁ悪くない」
「んっ、やだっ…!お兄ちゃん…!」
「ほら」
「んうっ!んんっ…ぅあ…っ」

人差し指と中指が口の中に入ってくれば無造作に動く指が舌に纏わりついてくる。律動が少しずつ激しくなり打ち付けられる度に性の音が浴室に響いた。涙が濡れた肌と混じって消えていく。

「ゃぁ…っ!あ、っん…ふぁ…」
「さて…レイのイく顔は…?」
「んっ…ぁっ…!」

また逆らえなかった快感にビクッと自分でも驚く程に震え、直後勢い良くリヴァイのが引き抜かれ腹辺りに生ぬるい精液が舞い落ちた。これも現実。夢じゃない。目の前で起こってることが私に語りかけてくる。頭の中がぐちゃぐちゃに回った。

「どう…して…っ?どうして…こんなことするの…っ!?」

蛇のように絡み付く視線と腕。

「して欲しそうにしてた」
「そんなことない…!」
「俺の咥えて離さなかったじゃねぇか」

気持ち良くなかったら感じもしねぇのに喘ぎまくってエロい顔してイったろ。
認めちまえよ、なぁ?

「っ…わたし…殺される…?」
「あ?」
「たまに…そういうの、っあるから…」
「誰が殺すかよ、ガキの間ではそういうドラマが流行ってんのか?」
「…じゃあ嫌いだから…?」

リヴァイがシャワーを出し2人を洗い流していく。何かレイに告げたようだがそれは水の音で何も聞こえなかった。

お前が死ぬまで可愛がってやるとは。


*


「…」

バスタオル1枚を身体に巻いてレイはベッドに横たわっている。目の辺りが泣いた為に重い。カーテンを閉める気力もなくただ無表情にシーツを撫でていた。

「…逃げなきゃ…」

此処にいてはいけない。
明日本家に帰ろう。
そうしないとまた、

「っ…!」

ほんのりと熱くなる身体。それが許せなくて枕を窓の方へと投げ付ける。サイドテーブルに置かれていた鞄から携帯を取り出し連絡を取ろうとしたがその手はそれ以上動かなかった。ポタポタと涙が画面に落ちていく。

「…もう…わからないよ…っ」


セックスは愛を強めたり深めたりすることもある。また逆に破壊的に働くことだってある。
ヘンリー・ミラー

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