「また泣いてんのか」

同期のレイは俺には到底及ばないが女ながらに強い。強いのに壁外調査へ行っては帰ってくる度ひっそりとした場所で1人しゃがみ込みずっと泣いている。これの繰り返し。

「よく枯れねぇな」
「だって…っ」

実戦には相当慣れているだろうに『怖い』
男のオルオとは違うんだから怖いと思って当然の感情でしょ、レイを虐めるのはやめて。ペトラに血相変えてそれはもうキツく言われたが別に虐めてるわけじゃない。きっと俺はとんでもない勘違いをされている。

「わかっては…いるんだよ…っ?恐怖に慣れなきゃ、いけないって…」

ポロポロ落ちる涙を何度も見てきた。
怖いと思ってる事くらい分かってる。
泣いちゃいけないなんて言ってない。
でもやっぱり泣き顔は、似合わないと思う。
レイと視線を合わせる様にしゃがんで頭をグシャグシャと撫でた。

「っオルオ…?」
「俺…達がついてる。だから怖くねぇだろ」

いざとなりゃお前1人くらい守れる。

「ふふっ…」
「笑う所じゃねぇよ!」
「…ありがとう」
「ったく…あーあーどういたしまして!ほれさっさと行くぞ泣きむし」
「うん」

繋がれた手。レイは笑う。
やっぱり笑顔が一番似合うと思った。

No.25 泣きむし

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