ありがとうございます。
頭を下げてから手渡された封筒を逸る気持ちで開ける。中から便箋を取り出せば優しさとあたたかさで溢れた文字。いつも必ず『怪我はしてない?病気はしてない?』と気遣ってくれる。調査兵団入団後は多忙故にレイとはあまり会えていない。だから手紙が俺達にとって唯一の連絡手段。
「クソみたいにニヤけやがって」
「っすみません!」
「お前の幼馴染だったか」
「お、幼馴染…というより…」
リヴァイだって馬鹿じゃない。
つまりは恋人、いや年齢的に彼女と表現した方がしっくりくる。どちらにせよ大切にしているのは分かった。
「しかしやたらとやり取りしてるんだな」
「レイは…話せないんです」
「話せない?」
目の前で母親と姉が巨人に食べられたショックで声が出なくなったんです。でも話せなくなっても大切な事に変わりはない。
「そうか、ならもういい」
「え…?」
「余計な心配させないように部屋戻ってさっさと返事書いてやれ」
「兵長…ありがとうございます!」
最初から最後までニヤけた顔。
ガキはこれだから。リヴァイは誰もいなくなった部屋で椅子に座り直し纏められた資料を読む。
「…どうするか…」
逆に書きたい事が多くて悩むな。
封筒、便箋、インク、ペン。
伝えたいことは?
「決めた!」
エレンはペンを取り書き始めた。
手紙に好きだと書こう。
会っても大好きだと伝えよう。
少し恥ずかしいけれど、喜んでくれるならそれでいいんだ。それが嬉しいんだ。
レイへ。
元気にしてるか?
俺は、
No.2 手紙