「女型の巨人1体の為にどれだけ兵士が…」

知らされてれば対応も違ってた筈だと漏らすジャンにアルミンは返す。間違ってない。

「100人の仲間の命と壁の中の人類の命…団長は選んだんだ、仲間の命を切り捨てる事を」

これが…壁外調査の現実だった。
同じ頃、囲むようにして巨大樹の枝に立つ兵士達の真下では女型の巨人が自らを仲間達に捕食させていた。こうして情報を抹消するとは…やられたよ、敵は全てを捨て去る覚悟があったということだ。
それでもその顔に迷いはない。

「レイ」

向かいの大樹にいた彼女を呼ぶ。
耳打ちをしているようだが何を話しているかまでは聞こえなかった。やがて話し終えるとガスと刃を補充したレイは何も言わずにアンカーを飛ばし森の奥深くへと消えていった。エルヴィンは青い信煙弾を撃ち上げる。

「総員撤退!陣形を再展開しカラネス区へ帰還せよ!」

地上に降り口笛で馬を呼び寄せた兵士達は次々に走り出す。だがミケ達には先の行動がどうにも納得いかない。

「どういうつもりだ」
「女型は喰われたが中身が喰われる所を見たか?俺は見てない」

ハンジが推論した通り巨人化を解いた後でもある程度動けるタイプだとすれば、そして予め立体機動装置を付けていたとしたら。

「そうじゃねぇ、どうして1人で行かせたかを聞いてんだ」
「レイは…誰よりも強い」

それだけで十分な理由だった。


*


広い広い巨大樹の森。

エルド、グンタ、オルオ、ペトラ。
みんな死んでいた。女型の巨人によって。
レイは瞳を揺れ動かすことなく森の中を進んでいく。命令を果たす為に。

「…」

見えた。やはりいる。
そこには怒り任せに項を削ごうとしている1人の新兵の姿もあった。再び斬り付けようとした隙を見計らって彼女の腕を取り一定の距離を置かせた。それを余所に立ち上がった女型は再び走り出す。

「っ!?レイ…兵士長…」
「この距離を保って」

まず女型を仕留めることは諦める。

「何故ですか…!?ヤツは仲間をたくさん殺しています!」
「皮膚を硬化させる能力がある以上は無理」

エレンが生きてることに全ての望みをかけて森を抜ける前に助け出す。その為に注意を引いて、仕留めたい気持ちは分かるけど判断に従ってもらう。

「私がアレを削る」

前を通れば案の定注意がミカサに向いた。

「…」

後ろからその動き1つ1つを観察する。
まだ来ない。ブレードを逆手に持ち替えた。
金の髪を揺らして走っている。
瞳に森の景色が反射して映り込む。
勢い良く踏み込んで。

来た。

女型が振り返りこちらに殴りかかる。
それに合わせてブーストを掛け腕を削りながら瞬時に顔目前にまで移動し、逆手に持ち替えたブレードを両目に突き刺す。真正面から返り血を浴びるもレイの動きは止まらない。そのまま一度飛び上がり新しい刃を取り出すと一気に下まで急降下した。
そしてまたアンカーを刺し目にも止まらぬ速さであらゆる部分を削っていく。目を凝らしても姿を見つける事が出来なかった。

「は、速い…速過ぎて硬化で防ぐ暇もない…、!」

項を守っている手が落ちた。
今なら直接狙える…!

「待って!」

1人と1体、各々の次の行動に気付いたレイはミカサを守る為に彼女を突き飛ばすと最後の一撃を加える。その際バランスを崩したミカサのブレードが頬を掠め熱を感じた。外れた女型の口から出てきたエレンを抱えるとすぐ様距離を取る。

「!レイ兵士長…」
「平気、エレンは生きてる」

もう此処に用はない、撤退しよう。
涙を流す敵に複雑な思いを抱いたことは秘密にして。


*


「痛いだろ」

後ろからレイを抱き締めているミケはまだ乾き切っていない頬の傷跡に舌を這わせていた。いつものにおいと混ざって血のにおいと味。それ見ろ、だから1人で云々とリヴァイがさっきまでエルヴィンに突っかかっていたのを思い出した。

「大丈夫」
「当分残るな」

裸に羽織られた白いシャツ。レイの身体の細さがよく分かり、手が胸をまさぐり柔らかく揉みしだく。乳首に緩やかな刺激を与えていくと吐息を漏らし寄り掛かってきた。

「っだめ、もう片方は…こっち…」

腕を軽く掴まれ秘部へと誘導されればトロリとした愛液が物欲しそうに指に絡んできた。内側を擦る度に身体がピクッと震える。だが何処か物足りないらしい。

「ぁ、あん…も、欲しい…っ」
「何を?」
「っミケの…挿れて…」

向きを変え膝に跨ってきた。若干浮いた腰。片手で持った自身を秘部に宛てがうとクチュ…という音を立てて中へ飲み込まれていく。

「はぁ…っ中、どう…?」
「最高だな」
「よかった…動いていい…?」
「あぁ」

俺とする時はいつも対面。こうして真正面から抱き締めてもらうのが好きなんだそうで。腰が下がってくれば中が締まり快感が伝わってきた。突き上げれば零れる喘ぎ。

「あぁっ…!ぁ、奥当たって…っ」
「まぁ…っ当ててるからな」
「ゃ…気持ちい…、っ大きいから…すごく…」
「っ…レイ」
「んっ…んぅ…!」

しっかりと抱き締めキスをしながら強く突き上げる。それに合わせて俺に回る腕の力が強まった。そろそろ互いに限界だ。

「んん…っ!」
「っ!」
「んぁ…っはぁ…ミケ…」

ぐったりともたれ掛かるレイ。
息を整えていると全身に倦怠感がやって来る。少し動いただけで愛液のおかげかズルリと自身が引き抜かれた。

「ん…?」
「…このまま寝たい…」
「好きにしていい、俺はずっといる」
「ありがとう」

うとうとし始める身体に布団を掛ける。
今日の壁外調査の戦績は最悪に近かったのに正しい判断をしたエルは何も悪くないと言っていた。
向かい合わせに抱き締められ眠っている顔がほんのり赤い。

「なぁレイ」

触れた頬の傷はやはり痛々しかった。
月明かりが零れ落ちそうな程には。

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