壁内とは違い空がない。
洞窟みたいな。
僅かに明るい狭い部屋。
後ろ手に縛られた腕。
脱ぎ散らかされた兵服。
裸体をまさぐる見知らぬ手。
無理矢理に開かれた秘部へと押し込まれる反り勃った肉棒。
凌辱するという行為の楽しさから笑う男達の声と部屋に立ち込める性のにおい。
下半身に纏わり付く精液。

「ゃ、いや…あぁっ…!」

望んでいないのに意識とは反して身体が震え終わらない嬌声が部屋に響いた。
肉棒が中で動く感覚が離れない。
力任せに上を向かされる。
餓えた獣みたいな目。
引き抜かれると生あたたかい液がドロリと垂れていく。

「声も身体も顔もいいときた」
「っはぁ…は…もう…っやめて…!」
「いい締め付けしてんな」

じゃあ次は俺。
違う男がレイの両足を掴む。
ぬるぬると犯される自分の場所。
掻き出されるようにそれは中へ入ってきた。

「ゃっ!いやぁっ!お願い…っ、だめ…あ、んっ!」
「っ全然キツいまんま…これたまんねぇわ」

どうしてこんな事になったのか。
巨人討伐の為に思いの外妖力を使ったリヴァイを部屋で休ませ自分は1人壁内を歩いていたら声を掛けられて今に至る。
前に2人で壁内を歩いていた時に彼等の内の誰かとぶつかってしまったらしい。たったそれだけ。本当にそれだけのこと。それがどうやったらこうなるのかレイには分からなかった。謝罪はしたが根を持たせたかもしれないし、そうじゃない別の原因かもしれない。
早く終わって欲しい。
早く。リヴァイに会いたい。

「んっ…!ぁ、あぁ…っ!」
「あーあ、下ぐっちょぐちょ」
「そういえば変わった服着てた男の子は一緒じゃなかったね」
「あっ、いゃ…っ…いや…!」
「弟?恋人?どんな関係?教えろよ」
「はな、して…っ!」

その時頬が思いっきり叩かれレイの身体が床に倒れる。

「生意気言うなっての」
「あれ?あー気絶してら、どうする?」
「調査兵団のヤツだろ?」

なら地上の適当な場所に捨てとくか。
まだ楽しみたかったのに残念。
でも久しぶりにいい女だった。


*


とにかく来てくれ。
部屋で寝ていた俺は言われるがままについて行く。着いた部屋で寝ていたのはレイ。丸裸に兵服掛けられた状態で倒れているのを偶然通り掛かった兵士が発見したらしい。全く知らない男のにおいがする。何をされたのかすぐに察した。

「誰がやった」
「間違いなく…地下街の奴等だろうね」

何でもありの無法地帯。
レイが自ら行ったとは到底考えられない。
伏せられた目元と頬がうっすら赤く腫れている。何度も指の背で撫でた。

「地下街か」

湧き上がってくる黒い何か。

それと笑いも込み上げてくる。きっと相手は見つからないとでも思っているに違いない。そういう所が、人間はどうしようもなく愚かだと思う。開けた窓に足を掛けた。

「ちょ、ちょっと!」
「レイから離れるなよ」
「まさか地下街に?」
「決まってんだろ」
「危険過ぎ「悪いがこれは俺の主の問題なんでな。それに心配は無用だ、殺したりはしない」

危険?人間の物差しなら危険なんだろうが俺はそもそも人間じゃない。
制止も聞かずに窓から飛び降り夜の壁内へ降り立つ。ヒトガタも楽だが長距離を移動するなら本来の姿の方が何倍も楽だ。

「まずは壁の向こうか」

音も無く屋根から屋根へと走り飛び移る。
しかし殺さないだなんてよく冷静に言えたものだ。いや、実際は腸が煮えくり返る程に殺意があるが…レイに複雑な思いを抱かせるのが嫌なだけ。と言いつつそいつ等を目の前にしたら殺さないでいられるかは怪しい所かもしれない。
まぁ殺してしまったらそれはそれでいい。
元は人間を殺す妖怪なんだから。

「皆殺しってのもありだな」

あの術、この術。
さぁ、どうしてやろう。

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