「なるほど、今日はこれか」

私が幼少の頃よりお仕えしているレイ・ローゼンハイム様は悪戯が大好きなお姫様だった。執事服が派手なスーツに変えられていたり、庭に落とし穴が大量に掘られていたり、紅茶がコーヒーに変わっていたり、ドアを開けた瞬間ぬいぐるみがすっ飛んできたり、旦那様より与えられた自室がいつの間にかクリスマスやハロウィン仕様に模様替えされていたりその他例を挙げればエトセトラ。そして今日はネクタイが物好きでなければ付けないだろう可愛らしい柄に変わっていたがこれで通算2463回目の悪戯、慣れ故に取り乱すことはなかった。

コンコンとノックの音。

「入っていい?」
「お入りください」
「どう?気に入ってもらえた?」
「私の歳とこのデザイン、些か恐ろしい組み合わせだと思っております」
「そんな事ないわ」
「勿体無きお言葉。ですが…そろそろお止めになられては?」
「ふふっ、楽しいから無理ね」

屈託なく笑うレイ様は16歳。
私とは20近く歳が離れていた。昔からおてんば姫と呼ばれていた彼女が…いや、今でも十分おてんば姫だが綺麗になったと話題になっている。しかし悪戯はもう卒業しなければいけない。それに私も散々振り回されてきた。

「でしたら姫様には、」
「ちょ、え…?」

軽々と抱き上げベッドに降ろす。
おや?このネクタイは可愛い姫様の手を縛るのにちょうどいい。楽しくなりそうだ。

「お仕置きが必要ですね」


*


「んっ…んん、ふぁ…」
「まだキスしかしていませんよ?」
「はぁ…だっ、て…」

頭の上で手を縛られ曝け出された裸体。
身動き出来ないレイ様は私にされるがまま。少し肌に触れただけでも初な反応が返ってくる。だって?どうしました?頬を優しく撫でて顔を覗き込む。

「いゃ…っ言いたく、ない…んっ!」
「すっかり女性の身体になりましたね」
「やぁ…!ぁ、なめちゃだめ…っ」
「あなたは本当に綺麗になった」

処女だからか少し胸を揉んで乳首を舐めただけでも刺激が強いらしい。舌で転がし吸い付くとすぐに硬さが増してきた。指を唾液で濡らし秘部辺りに這わしただけで身体が引き攣ったように強張る。

「美味しいですよ」
「あぁ…っん…おいしくない…!」
「ごめんなさいは?」
「っ指入れたら、だめ、っだめ…っあ!」

達した後の余韻に浸る時間はおあずけ。

「ぁ…はぁ…待って、っ止めて…」
「初めて達した感想は?」
「はぁっ、わ…からない…ぁん…っ」

そのまま奥に差し込んでいくと案外簡単に飲み込まれてしまった。中を解すように丁寧に動かしていく。嫌々と首を振りながらも気持ちよさそうな顔、確実に性行為から受ける快感に目覚めてきている。嫌ならどうとでもなるから。だってあなたは私に命令出来る立場なんだから。

さて、前戯は終わり。

「っ…挿れ、るの?」
「えぇ、お仕置きですから」

ちゅ、と唇に口付ける。

「処女じゃ、なくなる…?」
「このまま続ければ」
「…好きだから…っいい、よ…?」

秘部に宛がっただけなのに私のを迎えようとしているみたいな。ごめんなさいと聞ければ良かっただけなんだが。

「レイ様…ご自分が何を仰ってるかお分かりですか?」
「っ…他の人なんて、いや…エルヴィンがいい…」
「…それは…反則ですね」

私が姫様の言葉一つにこんなにも惑わされるとは…。縛っていた腕を解くと背中に腕を回させる。若干怯えてる彼女をしっかりと抱き締めた。

「ふ、ぁ…っなか…おおきい…っ全部、はいる…っ?」
「入り…ました。如何ですか?」
「…あったかいけど…ぁ…っ!」
「今からこうして動くんですよ、お仕置きですから」
「っ…あぁ、あっ…いじわる…っ」
「ふふ、あなたが可愛いのでつい」

律動をしている間、快感に喘ぎながらも私の名前を呼ぶ声がしっかりと木霊する。ゆるりと抜いては奥への繰り返し。ギシギシとスプリングが鳴る中でとろけるように絡んでくる性の熱が身体全体を酔わせてきた。

「すごく、っきもちい…」
「っ…私も気持ちいいですよ」
「ぁ、んっ、また…っ変な感じ…ゃ…!」
「どうぞ?感じるままに何度でも」

この甘い時間が終わったら自分からも気持ちを伝えなければ。1人の女性としてあなたが好きだと。結局今だって彼女に振り回されている事実に少し笑みがこぼれた。
でも、あぁその前に。
最後のお仕置きを。



「レイ、ごめんなさいは?」

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