「兵站拠点設置の為に壁外遠征、それも今期卒業の新兵連れてだ」
ジャケットを脱ぐと緊張感が抜けていくのは間違ってない筈だ。今日も死なずに生きていたという漠然とした感情が湧いてくる。明日は104期生が調査兵団に来る日だがレイにとってはどうだろう。隣に寝てる俺の身体を細い指でなぞっている行為が意味のある行動なのかは本人にしか分からない。なぞり返した肌が冷たく指を押し返してくる。
「早計過ぎだろ」
「エルの事だから」
柔らかい唇が半開いた唇に触れてきた。互いが求めるままに。布団を手で投げ捨てレイに覆いかぶさるとピクリと動いたので手の甲をベッドに押え付ける。ガラス細工の様な瞳を見つめながら胸を揉めば吐息が漏れた。
「…ぁ…」
手を絡めたまま舌先で乳首を撫でてから吸い付き、もう片方の空いた手を秘部に忍ばせる。それに合わせて少しずつ上がっていく身体の体温と息遣い。内側を強く擦れば足が無造作に動いてシーツを弄ぶ。
「っ今の…気持ちいい…」
「これか?」
「あっ…ぁ…ん、それ…」
素直な反応は可愛いと思うだけでなくこちらの性欲も順調に増していくわけで。静寂が支配する中でグチュグチュという卑猥な音が乱雑に響いた。
「全部レイから出てる音だぞ」
「…だっ、て…んっ、指…たくさん動く、から…っ!」
「俺のせいにされても困る」
「ぁ、ゃ…あっ…!」
更に抜き差しを激しくするとレイの身体が震えて強張る。
指を引き抜き呼吸が整っていく様子を見ながら自身を取り出し、足を持ち上げながらゆっくりと中に押し進めていく。進めば進む程に熱くてきつく感じるのにクセになるじんわりとした快感。全てを挿れ切ると打ち付けるように律動を始めた。その度に俺のを感じて喘ぐ姿は何度見てもたまらない。
「…ふ、ぅ…ぁん…っ!」
「指とどっちがいい?」
「んっ、リヴァイのが…っいい…」
「っで…?」
「もっ、と…動いて…っ」
素直な言葉。温かい身体、喘ぐ声、巡る快感、その瞳に膜を張る透明な涙。レイにキュッと自身を締め付けられるのをずっと堪えられる程我慢強くない。自然と絶頂に向け呼吸が荒くなっていく。
どんな時でも外す事がない錆び付いたペンダントが律動と一緒に揺れた。
「レイ…何も…」
「んぁっ…!な、に…っ?」
「っお前は…何も、悪くない…」
「い、ゃ…っ言っちゃ…だめ…っ」
何も言わなくていいから。
だから頷いて。
「レイ…っ」
「も…イっ、ちゃ…あぁ、っ!」
「っ…!」
欲が吐き出され愛液と精液が混ざり1つになった。引き抜きながら息を吸い深く吐くを繰り返している内に全身が段々と我に返ってくる。それなのに。
レイは泣いていた。
「…だめ…できない…」
言葉が出て来ない。
たった1つ頷くだけで良かったのに。
でも、あぁやっぱり。
だめだった。
何があっても認めないんだな。
誰が何と言おうと。
「…わかった」
「リヴァイ…?」
「何でもねぇよ。一緒に寝るぞ」
「ん…」
擦り寄って来るレイを抱き寄せ俺の腕の中に閉じ込めた。近いのに遠い。下手したら一生このままだな、ミケが複雑な表情で言っていたのを思い出す。レイの全てがあの日によって蝕まれるのだけは止めたい。そうしたら二度と会えなくなりそうだから。
「なぁ…レイ」
口付けた頬は既に冷たかった。