【絶頂アイドル主人公】


「ジャージくれるなんて…泣かせてくれるプレゼントだ…!どれどれ、」

シェアハウスの自室。
朝一番にくれた大きな袋2つの中にはあらゆるデザインや色のジャージが入っていた。早速1着ずつ出していく。コレ可愛いな!あ、こっちは奇抜でいい。
えーと、1、2、3、4…10…20?
え、20?は?20着も!!?

「な…なんてこった…!ヤベェェ!!!」

レイは両手を伸ばし大声で叫んだ。
なんだこの気持ち…!やばい喜びが身体中を駆け巡って破裂しそうだよ!!

ありがとうエルヴィンさん!
ありがとうミケさん!
ありがとうリヴァイさん!
ありがとうハンジさん!
ありがとうユミル!
ありがとうミカサ!
ありがとうばーちゃん!

バーンッ!

「「「「!」」」」

喜びが収まり切らずに袋ごとリビングに飛び出した。あまりの喜びオーラにリビングでレイちゃん祭りをしていた4人でさえ動きが止まる。ニートで朝から晩までパチンコ三昧だという彼女の今の顔、初めて見る明るさだった。

「ど、どうし「みなさん!!ジャージありがとうございます!」
「え?えっ、あ、ジャージねジャージ!いいのどう致しまして!」
「その様子だ「ハイッ!そりゃもう全てお気に入り登録です!感動しました!」
「…そりゃ良かっ「えぇ握手をしましょうみなさん!ありがとう本当にありがとう!!」

凄まじくテンションが高いレイは政治家の選挙の様に熱い握手をしていき、4人はされるがままにブンブンと上下に手を振られている。
ジャージが好きとは本人から聞いていたがこんなにもアクションが返ってくるとは思っていなかった。姉2人はあんなにしっかりしていて物静かなのに妹1人だけ遺伝子が根本的に違うんだろう。握手をしている最中にエルヴィンはこんな事を思っていた。

「き、気に入ってもらえたようで嬉しいよ」
「というわけでまずはこのジャージ!色使いがいいですよね!どなたが選んだんでしょう!?」

あっという間にリビングを陣取り袋から1着取り出しバッ!と広げるレイ。

「それは…リヴァイだったっけ?」
「リヴァイさんですね!?あぁナイスセンスの塊!グッジョブ!」
「………あぁ」
「続いてこちらは!?」
「え?」

まさか全着やる気なの?

「それは俺だ」
「ミケ!」
「レイは全着やる気だよ!」
「!しまっ「ハイ聞こえましたよミケさん!色使い、デザイン、共に素晴らしい!」
「そ…そうか」
「はぁ…!いいなジャージ…!みなさんもそう思うでしょう!?では次行きますね!」

ルンルン気分のレイ。
レイちゃん信者の彼等でさえ今の彼女にはドン引きせざるをえなかった。ただバレンタインに貰ったからホワイトデーにお返しをと思いこうしただけなのにどうなってんだオイ。

「…あと…何着かな」
「今8着終わったところだ」
「あと12か。おい、10着はアイツの姉達からだろ。誰が選んだなんざ知らねぇぞ」
「ひたすら耐えろ」
「…」
「来年はレイちゃんグッズにしよう。そしたら何かが上手く収まる気がする」
「名案だ」

死相漂う同居人達をよそに絶頂アイドルのホワイトデーはまだまだ終わりそうにない。

「ホワイトデーありがとう!!」



「次のジャージはこちら!!」

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