【女体化ミケ】


ぐったりとした疲れを身体全体で感じながらベッドに身を沈めていく。気を付けると言いながらもリヴァイは加減をしないからいつもこう。それでも何故か許してしまう。これが惚れた弱…何でもない。
身体の熱さと部屋の少しの冷たさ。
それが混ざり合うと心地いい。
そして髪を撫でてくれる手。

「お前は…本当に元気だな」
「テメェが悪い」
「俺は何もしてない」
「無自覚だから仕方ねぇ」

そういえば今日はホワイトデーだった。
リヴァイから話題を出してくるなんて意外だ。確かに1ヶ月前と同じ光景を兵団内で見たな。渡す側と渡される側の性別が変わっていたが。そういう俺もお返しを貰った。ハンジ達から。

「何貰った」
「下着」
「…」
「赤と黒の…コレだ」
「……ほう?」

殺す今すぐ殺すと思っていたが…思いの外、実物は色合いもちゃんとしていてひと目で高価と分かる下着だった。なるほど、コイツが付けたらなかなかに良いかもしれない。そして俺が大変な事になる。むっつりスケベは健在だった。

「それは付けるな」
「?」
「俺が同じのを買う」

だからそれを付けろ。
他人が買った下着を身に付けるだなんて気に喰わない。そこに気付いていないミケはわざわざ買うのかと首を傾げながらも了承した。下着は多いに越したことはない。と思っていたら目の前に小さなガラスボトルが差し出された。細かな部分まで装飾が施されている。

「これは?」
「調香師に頼んで作ってもらった香水だ」

ボトルを開けると、花と果実の香りがした。
ハッキリと香りを感じるのにくどくなくてふんわりと包まれる様な。あたたかい香り。

「いい香りだな」
「お前をイメージした」
「イメージ?」

こんにちはリヴァイ兵長。贈り物ですか?バレンタインのお返し?なるほど。既製品ですとイメージが出来上がってる状態ですからね。もしよろしければ是非相手の方がどんな方なのか、どんな色合いがお好きなのか教えてください。1からお作り致しますよ。

「それで何と?」
「頭は金髪でにおいを嗅ぐ癖がある」
「その情報いるのか?」
「ドチビ」
「おい」
「身体は細くて胸がデカい」
「何て事を伝えたんだお前は」

それは情報じゃない。
もはやプライバシーの侵害だ。
そこからよくこんないい香水を作れたな。聞けばボトルも1から装飾してくれたらしい…やはりプロは違う。シュッとひと吹きすれば微粒子になって舞う香りたち。でも嬉しいことに変わりはない。

「お返し、ありがとう」

たまには俺からキスするのもいいだろう。
ほんの少し驚いたリヴァイが面白かった。
コツンと自分の額を額に当てる。
この2人だけの何気ない時間が好きだ。

「勿体なくて使えないな」
「使わなきゃ意味ねぇだろ」
「なくなったら?」
「また作りに行くぞ」
「次のは、」
「ん?」
「俺達をイメージして作ってもらおう」
「そうだな」

フローラル?オリエンタル?シプレ?フゼア?それともシトラス?2人の香りは?
その時小さく笑ってしまった。
好きと毎日言葉や身体で言われてるが、結局俺もリヴァイの事が好きなんだと。一緒なら何でもいいということ。

「寝るか?」
「もう少しお前と起きてる」
「何をして?」
「また言わせるのか」
「言わないと分からない」

好きな香りで今日は少し大胆に。
ほら、言えるでしょう?



「楽しいこと」
「やけに素直だな」
「たまにはこんな日もいいだろ?」

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