(ついてない人は学生ベルトルト)


「……」

ベッドの上で目を覚ます。
所謂凄まじいと言われてる寝相で。
見慣れた天井。
まだ自分の部屋にいる。
こんな所にいていいんだっけ?
あれ、あれ、あれあれ。
鳴った、のか?
ちょっと待ってくれ。

「…あ…」

今の時間。
明らかにやらかした感じがする。
目覚まし時計を見て壁掛け時計へ目をやった。
あ、大変だ。

「うわぁぁぁ!!」

走る走る走る。とにかく走った。
寝坊した!寝坊したどうしよう!
大変だ、緊急事態だぁぁぁぁぁ!
ジャンとかエレンとかジャンとかエレンとかは気にもしないんだろうけど!

「わぁぁぁあぁあぁ!!」

余りにも慌てていたせいで鞄とか服装とか色んな所が滅茶苦茶になっているかもしれない!それでも!それでも今はそれを気にかけている場合じゃないんだ!一刻も早く校門を通らないと!

「どうしようどうし、見えた!」

あれこれ考えつつ我武者羅に走っていたら見えてきた!学校の校門が!よし、まだチャイムは鳴っていない、ラストスパートだ!

「着い、ったー…!」

両手を広げて校門を通り終えた。
とんでもなく息が上がってる。でも高揚感、マラソン選手のゴールはきっとこんな感じかもしれない。
それにしても走った…!走っ、た!
でも一番恐れていたことが回避できて…あぁあぁ良かった疲れたけど…!僕もやれば出来るじゃないか。メダルが欲しいところだな。達成感を感じると共に心底安心していたら、ポンと肩を叩かれる。

「おはよう」
「エルヴィン先生!おはようございます」

僕の担任エルヴィン・スミス先生だ。
にっこりと笑顔だが、先生の顔は驚いている。

「遅刻するなんて珍しいじゃないか」
「え?だってチャイム、」
「15分くらい前に鳴ったよ」
「え?」
「遅刻になるから生徒手帳、職員室に見せてから教室に行くように」
「!!!」

『俺は明日早いけどお前は朝練ないんだろ?』
『うん。だから少し長く寝るつもりだよ』
『いつもと違う時間に起きれんのか?』
『大丈夫だって、子供じゃないんだから』

「…ラ…」

か、皆勤賞が、僕の皆勤賞が…!

明日からまた気を付ければいいさ。
優しいエルヴィン先生の言葉が、泣けた。この後も「だから言ったろ!」って怒られたり「お前が遅刻とか槍でも降るんじゃねぇか?」って笑われたりするに違いない。その前にスマホ鳴ってないだろうと思い確認してみたらご丁寧にモーニングコールという名の着信が7件。
いや足りないよライナー!
起きるまで掛けてよライナー!

「馬鹿…」
「な、何だどうした」

そんなわけで僕の皆勤賞は無惨にも、あっけなく風と共に去っていった。


寝坊で遅刻月曜日

「ライナーの馬鹿ァァァ!!!」
「泣き所が違う気がするのは私だけか」
「うぅ…恨んでやる…ライナー…」
「その前にパジャマから制服に着替えなさい」

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