【女体化ミケ】


リヴァイの好きな紅茶を買った。
喜んでくれるだろうか?喜んでくれたら嬉しい。すんすん。祈るように綺麗に包まれた茶葉缶をギュッと持つ。でもこれだけでは足りない気がする。他にも何か出来る事は…

「ミーケ、どしたの?何か悩みごと?」


「俺が馬鹿だった」
「可愛いぃぃ!」
「俺が阿呆だった」
「用意しておいて良かったよ」
「俺が、俺が…!」

とっておきのモノがあるからミケにあげる!ハンジとナナバが絡んだ時点で言うべきじゃなかったと気付いた時には既に遅し。
暴れまくった末に大敗を喫したミケが着せられていたのは赤と白のベアワンピース。ふんわりとした手触りで、じゃない。そうじゃない。

「…」

ハロウィンの時も然り、何でこうコイツ等が着せてくるのは露出が激しいんだ。その前に何処でこんなモノ買ってくるのやら…まさか物好き過ぎるヤツ御用達の店がウォール・シーナ辺りにあるとか?

「胸が出過ぎて嫌だ」
「でも全部は見えないでしょ?それがいいんだって!」
「娼婦でもこんな格好しないぞ」
「あと頭はサンタ帽ね!」
「ミケ可愛い!」
「話を聞け可愛くない」
「お祝いしたいんでしょ?」
「…それは、まぁ…」

1年に一度の恋人の誕生日を。
確かに祝いたい。それは否定しない。
だからってこの格好で祝わなくても普通の服じゃいけないんだろうか。謎が謎を呼んでる。祝うなら喜んでくれる方がいいじゃない?とにかく夜リヴァイのとこに行くまで着替えるの禁止ね!
この姿でリヴァイに会いに行く…恥ずかし過ぎて気が遠くなったのは気のせいじゃなかった。


*


短いノックの音。
椅子から立ち上がったリヴァイはドアを開けようとする。が、押したら押し返される。ここまで来てやっぱり恥ずかしくなったミケは隙間から顔だけ出すという作戦に出た。

「どうして押さえる」
「開けたら笑うから」
「なんだそりゃ、開けろ」
「無理だ」
「開けろ」
「だか「力の差ってモンがあるけどな」
「!待っ、て…」

難なくドアを開けると目の前にはサンタガール姿をしたミケが顔を真っ赤にして立っていた。
浮き出た鎖骨、胸は谷間がくっきりと見え短い裾からはスラリとした生足が伸びている。ご丁寧にサンタ帽子まで被って。やはりむっつりスケベのリヴァイは顔色変える事なく、恥ずかしがるのを余所に隅から隅まで観察している。

だが他のヤツに見せてたまるかとすぐ部屋に引き入れると、先程から手に持っていた装飾された包みを手渡された。

「誕生日…おめでとう」
「…もうそんな日だったか」
「紅茶、俺が選んだから口に合うか分からないけど…」
「ありがとな」

愛しい恋人から貰って合わないわけがない。

「え?」
「?」
「いや…そのうやって言ってもらえると思ってなかった」

照れくさそうにどういたしまして、と笑うミケにリヴァイはそろそろ以上に限界だった。こんな格好で来やがって食わずに帰すわけねぇだろ。そうでなくとも帰す気なんてないのだから。

ちゅ、と唇にリップ音1つ。

「…なんだ」
「もう1つのプレゼントは?」
「そんなものない」
「こんな格好してんのにねぇのかよ」
「言わせる気か」
「言ってみろ」

啄む様に優しくキスする。

「…俺が…プ、レゼント…」
「俺じゃなくて?」
「…わたし」
「上出来だ」

リヴァイの宝物でもある金色の美しい猫をひと撫で、擦り寄ってくるのが何よりも愛しい。

「今日のお前、綺麗だな」
「な…!」

どうやらリヴァイは喜んでくれた様なので…ハンジとナナバにとりあえず礼を言っておこう。
明日はきっと、腰が痛いはず。

HAPPY BIRTHDAY

クリスマスはこの世界に魔法の杖を振る。ほら、すべてがより優しく、より美しい。
ノーマン・ビンセント・ピール

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