―大介、私、天ノ川見たいよ。


いつもは我侭を何一つ言わない俺の彼女、
なまえが唯一我侭を言う時。それは天ノ川やクリスマスツリーなどの行事の時だけだったとふと思い出した。
ベランダに望遠鏡を用意して待っていたのだが、今日は生憎晴れてくれなかった。
隣には眉を下げて悲しそうな彼女の姿。この子は意外とロマンチストなのだ。
さて、どうやってこの不機嫌をを静めようか。
俺の頭の中はそれの考えで埋め尽くされていた。


「なまえ、げ、元気だしなよ・・・・今年は仕方なかったよ・・・・」
恐る恐る声をかけてみれば、
「・・・・・、そんなこと、わかってるもん。仕方がないって」
と涙声で返ってきた。なんだ、見られないことが嫌じゃなかったのか。何故か内心ホッとしていた。俺ってほんとにチキンだよなぁ・・・・くっそう!


「じゃあ、どうしてそんなに悲しそうなの、」
「・・・・・いつか、私と大介が織姫様と彦星様みたいになっちゃうのかなって、おも、った、ら・・・・・っなんか、悲しくなってきちゃって・・・・っう、く。」
そういって彼女は泣き出した。

そんなこと思ってたのか。彼女はロマンチストな上に少し傷心しているようだ。
ちょっと丸まった彼女の背中を抱きしめながら

「・・・・そんなこと、ぜ、絶対、俺がさせないから、大丈夫だよ。なまえ!」
「・・・・ありがとう大介・・・」
そういえば涙で腫れた目をこすりながらゆっくりと微笑んだ。
俺はこの笑顔を守るためなら


この身だって、




(織姫と彦星の関係じゃ嫌なの。ずっと貴方といたいの。)



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